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Sportsmedicine No.125, 2010
月刊スポ-ツメディスン 2010年11月号 通巻125号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)


■特集 投球動作と障害の研究
--現場から始まり、現場に戻る

今月は、投球動作、投球障害の研究で成果をあげている宮下浩二先生にインタビュー、その研究の系譜を含め、研究成果を一覧してみた。最近、“American Journal of Sports Medicine”にも論文が掲載され、日本整形外科スポーツ医学会で最優秀論文賞にも輝くなど、その評価も高まっている。どういう経験がベースにあり、どういう視点で「投球動作」や「投球障害」に取り組んでこられたのか、今後をどう捉えておられるのかインタビューし、研究成果とともにまとめた。スポーツ医学における研究のスタンスを含め、現場の人も含め多くの人の参考になるのではないかと期待する。

1 投球動作と障害の研究の基礎を築いたもの
宮下浩二・中部大学生命健康科学部理学療法学科准教授、理学療法士

2 バイオメカニクス研究「拡大期」とその後の発展、今後
同上

■現場のコーチ、選手の声
堀田崇夫・中部大学硬式野球部コーチ


Topic Scanning
新しい流れを読む
1975年創設の伝統ある学会の活気——第36回日本整形外科スポーツ医学会学術集会ほか併催研究会等について

Clinical Essay
日々の臨床から「診察室で行っている筋と脳へのアプローチ」
腰曲がりが気になる:腸腰筋の不思議な働き——Gさん、75歳、女性、農業の場合
丹羽滋郎・愛知医科大学名誉教授、同大学運動療育センター教学監

Yoga for Athlete
アスリートに役立つヨガ
スーリヤ・ナマスカーラ 2
石川由希子・全米ヨガアライアンス認定インストラクター、栄養アドバイザー

Essay on the Picture
私の“一枚の絵”
スコットランドでゴルフ
渡會公治・東京大学大学院総合文化研究科身体運動科学研究室

Sports & Law
基礎から学ぶ「スポーツと法」
大学スポーツにおける不祥事を法的に分析する
山崎健介・スポーツ法政策研究会、オメルベニー・アンド・マイヤーズ法律事務所、弁護士

Coaching & Management
高校野球のチーム運営を考えるスポーツ経営診断
スポーツにおける多角化戦略
高柿 健・広島県立総合技術高校野球部顧問、岡山大学社会文化科学研究科組織経営専攻、中小企業診断士

Life Skills Program
アスリートのためのライフスキルプログラム
スポーツ経験とライフスキル獲得との因果関係に迫る
島本好平・慶應義塾大学非常勤講師 東京工業大学特別研究員・博士(学術)

The Challenge
アスリートの挑戦 番外編
フェンシング協会の挑戦〔最終回〕

Sports and Medicine
スポーツと医療の現場から考える
病院を考える——外来診察
河崎賢三・桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部准教授

Meridian Stretch
「経絡ストレッチ」——身体の異常判断と修正が容易にできる
経絡ストレッチで症状を改善しよう6——東洋医学の考え方(20):胃痛への対処法
朝日山一男・神奈川衛生学園専門学校

Physical Essay
からだのエッセイ「身体の森」
茶の話
山田ゆかり・スポーツライター  早稲田大学非常勤講師  一般社団法人飛騨シューレ代表理事

Exercise File
File 1  セルフケアコンディショニングのすすめ
セルフケア(SCA)とセルフコンディショニング(SCO)——触覚ボール編 2
小谷さおり・一般社団法人日本セルフケアコンディショニング協会

File 2  介護予防に役立つ機能改善エクササイズ
家族と一緒にウォーキングで認知症を予防する
石井千恵・健康医科学協会


 宮下浩二先生とはずいぶん以前からおつきあいがあり、演題発表や講演を何度も聞いたり、本誌にも執筆していただいたりしてきた。巻頭の記事で紹介した第36回日本整形外科スポーツ医学会の会場で、宮下先生が最優秀論文賞を受賞したことを聞き、“American Journal of Sports Medicine”にも論文が掲載されたことも知っていたので、「ちょうどいい機会だから、この辺で宮下先生の研究をまとめて紹介できれば」と考えた。
 本誌では何度か一人の先生をフューチャーし特集を組んできたが、どうしても高齢の方が中心になる。しかし、114号で西良浩一先生の腰椎分離症の研究を紹介したが、同様に近年、比較的若い先生で注目すべき研究成果を挙げておられる人が増えてきたように思う。宮下先生の18年間の研究もまだこれからどんどん発展していくだろうが、中日ドラゴンズをはじめ、スポーツ現場で学んだことを、研究して数字やグラフで示し、明確な指標や説明をつけていくという仕事は、よく言われる「研究のための研究」とは異なり、現場に貢献することを念頭においている。
 また、研究だけでなく、宮下先生は、理学療法士として、実際に選手(患者)の身体に触り、さらに現場でリハビリテーションやコンディショニングとの関連で指導も行っておられる。もちろん、大学の理学療法学科での教育も重要な仕事。学生が入ってきた今年から、仕事の領域や量は広がり増えていくことだろう。
 本文を読んでいただくとわかるが、もともとは自分の肘を治したいという気持ちから医療の世界に入ったという。その後、ドラゴンズでの3年間にわたるプロ選手との交流が大きな財産になり、現在は成長期の選手についてみておられる。本文で、「股関節が硬いといけない」あるいは「肩の可動域は150°必要」など、表面的な解釈の危険性について詳細に語っておられるが、数字や理論をもって語るときの慎重さと科学的分析に基づいた確信とが必要だと教えられる。それとは別に同大学硬式野球部の堀田崇夫コーチ(P.23)の話にあるように、現場での姿勢は研究者のそれではない。「なんのための研究か」が明確なゆえのことと思った。 (清家)


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