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Sportsmedicine No.120, 2010
月刊スポ-ツメディスン 2010年5月号 通巻120号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)


■特集 Fascia:筋膜--全体をつなぐ「第2の骨格」

近年、fascia:筋膜への関心が国際的に高まっている。「第2の骨格」と言われ、全身をつなぐ膜組織として、治療でもボディワークでもfasciaにアプローチする人たちが増えている。fasciaに関する国際会議も開かれるようになり、そこではヒトのからだに対するみかた、アプローチの仕方がfasciaをキーワードに語られるようになってきた。ではfasciaとは何か、「筋膜」という理解を超えた概念でもあり、治療領域、ボディワーク、細胞(物質)としてみる立場など、計4氏に聞いた。

1  筋膜と筋膜リリース
竹井 仁・首都大学東京 健康福祉学部理学療法学科大学院 人間健康科学研究科理学療法科学域 准教授 医学博士、理学療法士

2  私の筋膜へのアプローチ--その考え方と方法
吉村直心・やまぎわ整形外科 理学療法士、ReCo代表
     
3  能とロルフィング
安田 登・下掛宝生流ワキ方能楽師、公認ロルファー
 
4  細胞の視点からfasciaを捉える--“The 2nd International Fascia Research Congress”に参加して
跡見順子・東京大学名誉教授
 


Topic Scanning
新しい流れを読む
高度化するラグビーとスポーツ医学--第2回順天堂整形外科スポーツフォーラム

Editorial Report
話題の最前線
アスリートからの積極的な社会貢献--アスリートネットワーク設立

Yoga for Athletes
  アスリートに役立つヨガ
ウォーミングアップを兼ねた基本のヨガ
石川由希子・全米ヨガアライアンス認定インストラクター、栄養アドバイザー

Life Skill Program
アスリートのためのライフスキルプログラム
ライフスキルプログラム講習を実践してみえてきたもの
東海林祐子・慶應義塾大学総合政策学部、アスリートのためのライフスキルプログラム研究会

Clinical Essay
日々の臨床から「診察室で行っている筋と脳へのアプローチ」
「肩こり」が柔らかくなれば……--Bさん、30歳、男性、事務職、パソコンを使って事務作業の場合
丹羽滋郎・愛知医科大学名誉教授、同大学運動療育センター教学監

The Challenge
アスリートの挑戦
「オリンピックは人を変える。今が一番、そのことを実感しています」
坂本日登美[レスリング]・自衛隊体育学校

Sports & Law
基礎から学ぶ「スポーツと法」
新型インフルエンザとスポーツ活動
白井久明・スポーツ法政策研究会、京橋法律事務所、弁護士

Physical Essay
連載 からだのエッセイ「身体の森」

山田ゆかり・スポーツライター  早稲田大学非常勤講師  一般社団法人飛騨シューレ代表理事

Meridian Stretch
「経絡ストレッチ」--身体の異常診断と修正が容易にできる
経絡ストレッチで症状を改善しよう 1
東洋医学の考え方(15):風邪への対処法
朝日山一男・神奈川衛生学園専門学校

Exercise File
File 1  続 膝OAのための「ヒザイタ改善エクササイズ」
進化するヒザイタ予防改善運動--膝OAのためのエクササイズ3
小谷さおり・一般社団法人日本セルフケアコンディショニング協会代表

File 2  介護予防に役立つ機能改善エクササイズ
注意障害は生活の質を低下させる
石井千恵・健康医科学協会

File 3  医療現場のボールエクササイズ
全身の姿勢安定化に有効なボールエクササイズ
秋葉早緒・NPO法人健康医科学協会プラクティショナー(ボールエクササイズ指導者認定資格)


  Fascia(ファッシャ)は「筋膜」と単純に理解していた。しかし、最近、いろいろなところでこのfasciaが話題になり、「どうも筋膜は単に筋膜ではないな」と思い始めた。能楽師の安田登さん(P.18)が公認ロルファーと聞いても、ロルフィングという言葉は知っていたものの、能とロルフィングが結びつかなかった。「筋膜」という言葉からすぐに浮かび上がるのは「筋膜リリース」だった。これについては以前からオステオパシーも含め、よく耳にする言葉だった。しかし、特殊な徒手療法というくらいの理解しかなく、本誌で取り上げる機会はなかった。
  上記の安田さんが身体サミット(P.18参照)のときだったか、「fasciaを筋膜と訳すのはどうも」というようなことをおっしゃった。そのとき、筋膜のイメージがはっきり変わった。そこで「fascia」を特集にできないかと考えるようになった。いろいろな人に話したり、メールで相談したり、そのなかから今回の特集の構想が出来上がった。
  筋膜リリースについては、日本の第一人者である竹井仁先生(P.6)に聞くことにした。約15年携わってこられた重みが感じられる内容で、「筋膜リリース」ではなく、本来は「膜リリース」というべきというところは思わず膝を打ちそうになった。
  吉村直心先生(P.13)は、元ラグビー選手で現在は理学療法士として医療に携わっておられるが、筋膜へのアプローチをされていることは知っていたので、今回取材させていただいた。ReCoという施設で、筋膜へのアプローチを通じてリコンディショニングを進めておられる。
  安田さんについては、本文を読んでいただきたいが、能楽師で公認ロルファーという以上に多才で圧倒される。そういう人が「fascia」に関心があるということ自体が面白い。その安田さんとも交流があるのが跡見順子先生(P.23)で国際fascia研究会議にも参加されたという「大事!」と思うと行動に移す人である。「本来マクロな視点」で体育をみるべきが、そうではなくなったという指摘、fasciaの「物質」をもっと出してほしいという発言が印象的。Fasciaは、ヒトのからだを考えていくうえで、新たな世界を築くかもしれない。それは何を意味しているのだろうか。(清家)


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