Sportsmedicine No.109, 2009
月刊スポ-ツメディスン 4月号 通巻109号
A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)
■特集 腰痛を見極める——判別と保存療法
腰痛に悩まされる人は、アスリートでも一般でも数多い。しかし、一口に「腰痛」と言っても疾患はさまざま。「腰痛」は疾患名ではなく、症状だからである。「腰が痛い」と訴えてきた患者さんの腰部のX線写真を撮っても異常はなかった。しかし、実際には痛みがある部位より上の圧迫骨折であったという症例から始まり、さまざまな腰痛疾患に関して、腰痛疾患に25年以上携わってこられた青木先生に詳細に解説していただいたのが今月の特集である。腰痛への理解、腰痛を症状とする疾患の知識、その保存療法について、膨大な症例をもとに語っていただいた。
1 「腰痛」、「腰痛症」とは
青木一治・名古屋学院大学人間健康学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 教授
(以下特集4まで同様)
2 腰痛疾患を診るためのポイント
3 椎間関節症と椎間板ヘルニア
4 運動療法
The Athlete's Voice 痛みとともに知った「言葉」の重さ
諸隈直樹・株式会社キャリアスポーツ代表取締役、元バレーボール男子日本代表
Topic Scanning
新しい流れを読む
日本のスポーツ文化の拡充とドーピング問題——第5回スポーツ仲裁シンポジウム開催
Ultrasound Diagnostic Imaging in Sport
連載 スポーツに役立てる超音波画像診断
野球肘
鈴江直人・国立病院機構徳島病院整形外科
Editorial Report
話題の最前線
国内最大級の健康産業の専門展示会——健康博覧会2009開催
My Fishing Days
70歳からのフィッシング
「えひめ高齢者ヘルスプロモーション研究会」と瀬戸内の大アジ
宮下充正・東京大学名誉教授
Prevention of Baseball Injuries II
続・投球障害の予防と対応
投球障害対応の基本的考え
投球動作をもとに身体機能をみる——宮下浩二(中部大学生命健康科学研究所准教授)先生に聞く
能勢康史・コンディショニングコーチ
Sports & Law
連載 基礎から学ぶ「スポーツと法」
スポーツ事故における学校の責任
山本雄祐・スポーツ法政策研究会、法律事務所あすか、弁護士
Contribution
寄稿
ダイナミック・ストレッチングのゴルフ・ショットへの影響
宮下充正・東京大学名誉教授
Meridian Stretch
「経絡ストレッチ」——身体の異常診断と修正が容易にできる
経絡ストレッチで症状が改善した例15
東洋医学の考え方(4)——障害で落ち込んでいる選手の対応と経絡ストレッチ
朝日山一男・神奈川衛生学園専門学校
Life Skill Program
アスリートのメンタルトレーニングとライフスキル
村上貴聡・東京理科大学
Exercise File
File 1 介護予防に役立つ機能改善エクササイズ
口腔機能をフィットネスの切り口で改善する
石井千恵・健康医科学協会
File 2 医療現場のボールエクササイズ
高齢者の身体機能改善エクササイズ——高齢者[実技編2]
井 雅代・有限会社健康ネットワーク代表、九州大学非常勤講師
特集フォローアップ
昨年11月に開催されたスポーツ選手のためのリハビリテーション研究会の研修会で、青木一治先生の講演に接した。膨大なスライド、症例を示しつつ、腰痛の保存療法について解説していかれたのだが、「う〜ん」とうなり、「なるほど」と思うことがたくさんあった。時間の関係で、後半はかなりスピードアップされたが、時を改めぜひ一度ゆっくりお話を聞いてみたいと考えていた。私自身も腰痛持ちで日頃から悩まされているが、周辺でも腰痛で困っている人の話が出てくる。やっぱりインタビューしてみようと昨思い、ある人を介して青木先生に連絡、無事取材が実現した。
青木先生は、脊椎疾患に関わり25年以上、自ずとその症例数も多く、「腰痛」に対するみかたも詳細になる。インタビューの冒頭で紹介していただいた圧迫骨折の患者さんの例も、一般の医療機関では見逃されがちなもの。「腰が痛い」という訴えで腰部のX線写真を撮ったところ異常はなかった。では、しばらく様子を見ましょうとなる。しかし、実際には写真に写る部分より上の圧迫骨折だった。詳細は本文を読んでいただきたいが、痛みを訴える部位と本来の疾患の位置とが必ずしも一致しないという例であり、考えられることの所見をきちんと取ることの重要性が浮かび上がるケースである。
この症例から始まり、腰痛に関する詳しい解説が続く。体幹の伸展・屈曲体操、腿挙げテストなど、誰でも役立つ運動の紹介もさることながら、日常の姿勢の改善も大切という当たり前のようで見逃されがちな点も指摘される。腰痛疾患、脊椎疾患は人生を生きるうえで大きな影響を与えうる。
本文で紹介されている「運動診」つまり、運動で診るというような意味になるが、上記の体幹の伸展・屈曲で、大きく反れるか、前屈できるかという単純な問題ではなく、どのような動きでどこまでそれが可能かという動きの診方が示されている。たとえば、体前屈で手が簡単に床につくお年寄りには「すべり」が起こっている可能性もあるそうだ。
青木先生には年度末のご多忙な折、取材後、原稿の校閲、また図の再構成など、大幅に時間を割いていただいた。厚く御礼申し上げる次第である。(清家)
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