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Sportsmedicine No.98, 2008
月刊スポ-ツメディスン 2・3月合併号 通巻98号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)

■特集 つった!どうする?--筋けいれんの原因と対応
大阪での世界陸上をはじめ、箱根駅伝でも、その他競技でも筋けいれんは多発している。また一般人でも、とくに高齢になると夜や疲労時に筋けいれんを経験することが少なくない。高齢者とスポーツ選手の場合で、実際には共通した状況もみられる。何が原因で、どう対応すべきか。医師、トレーナー、鍼灸の専門家、管理栄養士、選手に取材し、スポーツ現場や家庭などでの具体的な対応を含めて、取材でまとめたのがこの特集である。

1 「筋けいれん」の原因と対策
奥脇 透・国立スポーツ科学センター、スポーツ医学研究部副主任研究員、整形外科医 

2 足がつったテニス選手への対応--トレーナーの現場から
村木良博・(有)ケアステーション代表取締役、JASA-ATマスター、柔道整復師、鍼灸・マッサージ師

3 筋けいれんに対応する鍼灸の考え方
宮本俊和・筑波大学大学院人間科学総合科スポーツ医学専攻准教授、鍼灸師

4 バランスのよい食事がつらないからだをつくる!
奈良典子・明治製菓㈱ザバス・スポーツ&ニュートリション・ラボ 管理栄養士


The Athlete’s Voice
駅伝レース中に起こった「筋けいれん」
三代直樹・富士通陸上競技部、2001年世界陸上エドモントン大会10000m代表

Topic Scanning
新しい流れを読む
スポーツ現場と医療をつなぐネットワークづくり--SSO野球共育塾の試み

Prevention of Baseball Injuries
投球障害への対応と予防のために(最終回)
    投球障害への総合的な対応と予防の考え方
能勢康史・コンディショニングコーチ

Editorial Report
話題の最前線
健康づくりの原点へ--タラソテラピーの効用「テルムマラン ヨコハマ ベイ」

Essay on the Picture
私の“一枚の絵”
シュナイダーのスキー写真
渡會公治・東京大学大学院総合文化研究科身体運動科学研究室

Contribution 寄稿
生活習慣の改善は、医療費・介護費高騰の抑制につながるのか
宮下充正・東京大学名誉教授

Meridian Stretch
「経絡ストレッチ」--身体の異常診断と修正が容易にできる
経絡ストレッチで症状が改善した例4
「花粉症で悩むランナー」に効果のある経絡ストレッチとツボ刺激
朝日山一男・神奈川衛生学園専門学校専任教員

Body Potential
動きへのはたらきかけ
胸郭の動き
橋本維知子・日本ボディポテンシャル協会主宰

Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ--ドイツの運動科学理論とともに
ちいさな国のおおきな闘い! その23
高橋日出二・コレスポ、綿引勝美・鳴門教育大学

Trainers Activity
JATACのトレーナー実践活動
種目別Ⅴ クロスカントリースキー
原 和正・JATAC(NAGANO)他

Exercise File
File 1 機能改善体操(最終回)
機能改善体操 〜参加者に応じた指導〜
石井千恵・医療法人清心会藤沢病院

File 2 介護予防に役立つ機能改善エクササイズ
腰痛改善で気持ちを掴む
尾陰由美子・アクトスペース企画

File 3 忙しい人のためのフェルデンクライスメソッド
脳を鍛えるからだのレッスン--ストレスを素早く解放する方法
フランク・ワイルドマン博士、訳:藤井里佳

Hida Report
連載「飛騨通信」
ワカモノが考える交流「元気は子どもから」--飛騨市神岡と沖縄西表島の子どもたちの将来のために
山田ゆかり・スポ-ツライター、早稲田大学非常勤講師


 大阪での世界陸上で、日本人選手が何人も筋けいれんに見舞われた。夏の大阪はうだるような暑さで、独特である。しかし、なぜ何人も筋けいれんを起こしたのか。そして、正月の箱根駅伝でも悲劇は起きた。その後、福士加代子選手が1月27日開催の大阪国際女子マラソンで何度も転倒しながらゴールインした。
 こうしたスポーツ選手の筋けいれんは衝撃的であるが、中高年になってくると、寝ているときにふくらはぎなどがつり、悩まされることが多くなってくる。
 アスリートと中高年は、同じ筋けいれんでも事情が違うだろうと思っていたが、本当かどうかはわからない(取材によって、共通点が多いことがわかった)。そもそもなぜ筋けいれんは起こるのか?
 そういう疑問を抱いていたときに、日本陸上競技連盟のトレーナー研修会で「筋けいれん」がテーマになったと知った。そこからこの特集企画が始まった。
 そのトレーナー研修会で発表された国立スポーツ科学センターの奥脇透先生(P.6)に連絡、その内容を中心にうかがうことにした。奥脇先生には本誌88号の肉ばなれの特集で詳しく解説していただいたが、肉ばなれ同様、筋けいれんはそれで受診する人も少なく、医科学的研究は進んでいない。原因も多様で、したがって対応も多様にならざるを得ない。しかし、今わかっていることを明確に整理していただき、かつ具体的に聞くことができた。
 筋けいれんが起きたとき現場で対応するのがトレーナーである。近年はテニス競技での活動が盛んな村木良博トレーナー(P.11)に取材。現場で長く対応してきた人ならではの話である。与えられたわずか3分という時間で、筋けいれんに対応し、選手をコートに戻さなければいけない。処置している側の反対側がまたつるということもあり、トレーナーの腕や手がつりそうになるという話に笑ったが、それくらいの“戦場”ということであろう。
 スポーツ鍼灸について科学的にアプローチされてきた宮本俊和先生(P.13)には、鍼灸という考え方からの筋けいれんへの対処について聞いた。委中や三陰交などのツボ刺激、灸の活用、二関節筋の弛緩の仕方など、実践的で、すぐに試したくなる内容。
 水分を始め栄養も重要なファクターである。管理栄養士の奈良典子さん(P.17)には、サッカーや柔道などでの豊富な経験から、筋けいれんをできるだけ起こさない水分や栄養摂取について聞いた。
 最後に富士通陸上競技部の三代直樹選手(P.20)に筋けいれんやその他ケガに悩まされた経験から、提言的内容も含め、味わい深い話を聞くことができた。医療従事者との話はとくに興味深い。
 誰にでも起こりうる筋けいれん。できるだけそういう事態を避けるため、ぜひこの特集の内容を参考にしていただきたい。
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