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Sportsmedicine No.92, 2007
月刊スポーツメディスン 7月号 通巻92号
A4変型判 52頁 中綴じ 定価1050円(税込み)
年間購読料10,000円(税込み、500円割引)
■特集 半月板損傷の治療--スポーツ選手の場合と高齢者の場合
膝関節の中にあり、クッションの働きをしている半月板。スポーツ選手でも高齢者でもこの半月板損傷の例は多い。損傷したら、縫合できるものは縫合し、できないものは切除という治療から、「しばらく様子をみる」という保存的治療と、「再建術」にも取り組んでおられる堀部先生と、高齢者の膝の痛みは変形性膝関節症を伴うことが多いが、痛みの原因は半月板損傷の場合もあるという押田先生に取材。半月板損傷に注目することで医療や治療の大事な部分が見えてくる。
1半月板損傷の治療をどう考えるか
堀部秀二・大阪労災病院スポーツ整形外科
2高齢者の半月板損傷
押田翠・東京逓信病院整形外科
The Athlete’s Voice 半月板損傷と付き合いながらつかんだ金メダル
斎藤仁・全日本柔道連盟男子監督、国士舘大学教授
Topic Scanning
新しい流れを読む
運動器の生活習慣病--筋と脳の再教育
Body Potential
動きへのはたらきかけ 跳躍
橋本維知子・日本ボディポテンシャル協会主宰
Prevention of Baseball Injuries
投球障害への対応と予防のために
野球肘のみかたと対応
柏口新二・東京厚生年金病院整形外科
Editional Report
話題の最前線
スポーツを楽しくするために
My Fishing Days
70歳からのフィッシング
鹿教湯温泉“二十一番名所めぐり”と信州早春の渓流釣り
宮下充正・東京大学名誉教授
Functional Approach
ファンクションという見方と対応
難治性の足底腱膜炎についての一考察
吉田奈美ほか
Essay on the picture
私の一枚の絵
長腓骨筋 『ランツ下肢臨床解剖学』(医学書院)ほかより
渡會公治・東京大学大学院総合文化研究科身体運動科学研究室
Meridian Stretch
「経絡ストレッチ」--身体の異常判断と修正が容易にできる
足関節の動き(経絡テスト)で異常を感じた場合の経絡ストレッチ
朝日山一男・神奈川衛生学園専門学校専任教員
Exercise File
File 1 忙しい人のためのフェルデンクライスメソッド
脳を鍛えるからだのレッスン--足と足首の発見
フランク・ワイルドマン博士、訳:藤井里佳
File 2 介護予防に役立つ機能改善エクササイズ
身体への気づき
石井千恵・医療法人清心会藤沢病院
File 3 機能改善体操
ウォール(壁)体操C
尾陰由美子・アクトスペース企画
Trainers Activity
第13回世界移植者スポーツ大会(神戸大会)におけるJATACのトレーナー活動
岩本芳照・NPO法人JATAC理事
Wacth and Write!
スポーツの「芯」
罰について
山田ゆかり・スポーツライター
特集 半月板損傷の治療
スポーツ選手はもとより、一般人でも半月板を傷めたという話はよく聞く。半月板は線維軟骨で、損傷すると、血行がある部分は治癒する可能性があるが、そうでない場合は断裂部がつくことはないとされる。
結局、半月板の縫合か、切除となる。縫合できればよいが、切除すると、それだけ半月板の面積は少なくなり、負担がかかりやすい。
こうした問題について、大阪労災病院スポーツ整形外科の堀部先生(P.6)に詳しくうかがった。
堀部先生は、半月板損傷について、「症状か、機能か」という問題を出されている。つまり、症状の改善と機能の改善を混同しないことが大事で、半月板を切除するというのは症状は改善されても機能は改善されない。できるだけ半月板はあったほうがよいので、すぐには切除しないという方針である。それでスポーツ選手でもプレーを続けている例が少なくない。そのあと、どうしようもなく痛みやひっかかりなどがありプレーできないようであれば、そのときまた考えるという「スロー」な考え方である。円板状半月であっても使えるうちは使おうという考えで、すぐに摘出はしない。
もちろん、それでも全体を切除することも出てくる。その場合は「再建する」。半腱様筋腱を使用、半月板の再建にも取り組んでおられ、「完璧ではないけれど、ないよりよい」という段階にある。
結局、治療のフィロソフィーが大事という言葉に大きく納得させられる。
東京逓信病院の押田先生(P.14)は、高齢者の半月板損傷を多く経験されているが、東京逓信病院は関節鏡が始まった病院でもある。その歴史から教えていただいた。この関節鏡があってこそ、半月板損傷も前十字靱帯損傷も大きな侵襲なく鏡視下で手術を行うことができるようになった。
高齢者の膝の痛みは、変形性膝関節症を伴うことが多いため、痛みの原因はそれだと思われがちである。しかし、実際には半月板損傷が痛みの原因であり、その治療を行うと痛みが改善され、歩行も楽になる。「もう歳だから」と言われ、痛みを我慢して生活しておられる人も少なくないだろうが、こうした可能性も検討するべきというのが押田先生の説である。円板状半月でも内側は注目されるが、外側に損傷がある場合もあるとか。このように高齢者の膝の痛みについては変形性膝関節症と決めつけないで「トータルに診る」必要性がある。
堀部先生、押田先生、お二人の話を聞いていると、治療のフィロソフィーという重要な点に気づかされる。スポーツ医学は、そのフィロソフィーがもっとも重要かもしれない。
連載その他の記事
今月の連載「投球障害への対応と予防のために」では柏口先生(P.22)の詳細な話が掲載されている。柏口先生は、徳島で長く少年野球の投球障害に取り組み、検診にも積極的に取り組んでこられた。少年野球における投球障害は必ず予防できるものである。それには指導者をはじめ周囲の理解が不可欠。こうしたムーブメントを広げるためにもスポーツ医学の果たす役割は大きい。
吉田先生(P.29)には、足底腱膜炎に関する興味深い論文を提供していただいた。併せて熟読していただきたい。(清家)
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