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Sportsmedicine No.78 Feb-Mar, 2006
月刊スポーツメディスン 2・3月合併号 通巻78号
A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) 【完売】
年間購読料11,000円(10,000円+税)
■特集 変形性膝関節症への対応病態と進行を知り、悪化・発症を予防する
700万人を超えるとも言われる変形性膝関節症患者。高齢社会における「国民病」として注目が集まる。今月の特集では、新潟県松代町で21年間、コホート研究をされてきた古賀先生の膨大にして詳細な研究をまず掲げ、病態と進行について予防を含め解説していただく。そして東京厚生年金病院の長谷川医師と田中理学療法士に診療や治療、エクササイズについて、最後に順天堂大学・黒澤教授にグルコサミンについて語っていただく。
古賀良生、長谷川伸、田中尚喜、黒澤 尚
■連載その他
Topic Scanning
新しい流れを読む
職域から防ぐメタボリックシンドローム——第40回日本成人病(生活習慣病)学会より
Sportsmedicine Now
取材レポート:これからのスポーツ医療
医療機関と連動したトレーニング施設 八王子メディカルフィットネスセンター
Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ——ドイツの運動科学理論とともに
“障害者”のコオーディネーション能力
荒木秀夫
Therapeutic Exercise
運動療法のポイントと実際—整形外科診療所からの発信
動作の進化
多久泰夫・多久範子
Active Children
子どもの身体活動を考える——いかに人を動かすか
飛騨市健康増進・体力向上モデル事業「山っこ倶楽部」の発展性——指定管理者への模索:飛騨市スローガンとのコラボレーション
Exercise File
File 1 膝OAのための「ヒザイタ改善エクササイズ」
膝OAと向き合ってきたクライアントたち その1
小谷さおり
File 2 介護予防に役立つ機能改善エクササイズ
顔のエクササイズ
石井千恵
File 3 投稿
フット・エクササイズで今日も元気に
鈴木秀雄
スポーツの「芯」
東レパンパシフィックオープン(PPO)テニストーナメント2006で感じたこと
山田ゆかり
★全国スポーツ・クリニック一覧追加情報
特集 変形性膝関節症への対応
以前から古賀先生(P.6)の研究については聞いていて、いつか取材させていただきたいと考えていた。東京駅から新潟新幹線で新潟駅に向かう車窓から見える越後湯沢付近は数mの雪が積もり、なおも降りしきっていた。時間通り着くのか不安になったが、新潟駅までは順調。新潟市内は思ったほどの積雪ではなくほっとしたが、乗り換える電車がなかなかこない。「雪害のため遅れております」というアナウンスを聞き、「雪害」という言葉が出てくる意味合いを感じた。東京なら「雪のため」「積雪により」くらいの説明であろう。
その雪深ささで知られる松代町で21年間7年ごとに調査されてきたのが古賀先生グループであるが、膨大な資料とともに解説していただき、講演されたDVDもいただいた。それらをもとにまとめてみたが、もちろん割愛したもデータのほうが多い。
データが多いのは当然で、それだけに留まらずそのデータの分析も詳細である。エビデンスの大事さを説かれているが、何をもってそれを語るのか。そのバックグラウンドとなるものの重さを感じさせられた。
長谷川先生(P.13)には、膝OAの症状、治療法について、保存・手術療法の両面から聞いた。膝OAに対する不安を解消する手がかりとなるよう素朴な疑問をぶつけているが、とても丁寧に答えていただいた。運動を行ううえでも、膝OAへの正しい理解は欠かせない。運動によって逆に膝に痛みを覚える、そして漠然と痛みに不安を抱えることがないよう、膝OAへの理解を深めてほしい。
田中先生(P.16)には、理学療法士の立場から、膝OAの初期段階の痛みの軽減、予防にも活かせる筋力トレーニング、ストレッチを紹介していただいた。ウォーキングや日常動作の注意点についても触れていただいたが、からだの使い方や靴の選び方、杖の活用など、ちょっとした工夫が痛みの軽減につながることがわかった。私たち自身で膝OAの痛み軽減、予防のためにできることはたくさんある。ぜひ参考にしていただきたい。
黒澤先生(P.20)は著名な整形外科医でとくに膝で知られるが、膝OAについては運動療法の研究もされ、本誌でも登場していただいた。スポーツを愛し、その文化性を重んじておられる。その黒澤先生が「グルコサミン研究会」を立ち上げ、会長も務められている。膝OAに限らないのだが、変形性関節症に対して、グルコサミンのとくに痛みを軽減するはたらきが解明されつつある。実際に使用している患者さんの反応もよい。痛みは生活全般に大きな影響を与える。その痛みが軽減するのなら、それが医薬品でなく食品であれば、活用したいという人は少なくないだろう。今後の研究やエビデンスの積み重ねがさらに必要だが、可能性を感じる。
連載その他
これからのスポーツ医療(P.26)では、昨年12月にオープンした八王子メディカルフィットネスセンターを訪れ、医療機関と連携をとる同施設の理念・展望などを聞いた。
荒木先生の連載(P.29)は、障害者におけるコオーディネーション能力について。最大限に能力を発揮するという点において、障害者から学ぶべきことは多い。
多久泰夫・範子先生の連載(P.33)では、動作の進化をテーマとし、動物の動作構築の推移についてベルンシュタインの著書を基に解説していただいた。
最終回となる子どもの身体活動を考える(P.36)は、「子育て環境日本一」をスローガンとして掲げるうえでの留意点と、山っこ倶楽部の発展性について触れている。
今号より、実技系の連載をエクササイズファイルとしてまとめた。膝OAのクライアントを紹介した小谷さんの連載(P.40)、顔のエクササイズを解説した石井さんの連載(P.43)、健康体操教室エンジョイの鈴木さんに投稿いただいた「フット・エクササイズで今日も元気に」(P.46)を掲載しているので、実際の指導に役立てていただきたい。
スポーツの「芯」(P.50)は、東レPPOで準優勝したヒンギス選手の話を中心に、10代のアスリートが育つ環境について考察している。10代に限らず、環境が与える影響は、これからもじっくり検討していく必要があるだろう。
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