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Sportsmedicine No.72 Contents July, 2005
月刊スポーツメディスン 7月号 通巻72号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,000円(+税) クリアランスセール特価500円(+税)
年間購読料10,000円(税込)

■特集 東洋の養生法見直される東洋の健康法、身体技法
「和」や武道・武士道のブームを始め、東洋的なるものへの注目が高まっている。今月は、健康法・身体技法として、太極拳など中国から入ってきたもの、操体法や真向法など日本で考案されたものを通して、東洋の養生法について考えてみる。明治以降西洋文化の学習・導入に懸命だった日本がやっと自らの足許を見始めたと言えるが、そこには新たな視点もある。
横澤喜久子、張 勇、跡見順子、鹿島田忠史、佐藤康彦ほか


■連載その他
Topic Scanning
新しい流れを読む
第1回日本疲労学会学術集会開催
——学際的な広がりをみせる「疲労」

Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ——ドイツの運動科学理論とともに
コオーディネーション理論における“発想”
荒木秀夫

Stretching and Training for Injury Prevention
障害を予防するストレッチングとトレーニング
野球肘における筋力強化による予防について(上)
堀居 昭

Athletic Rehabilitation
膝前十字靱帯(ACL)損傷をどのように予防するか
膝前十字靱帯(ACL)損傷を発生させる要因に関する考察
浦辺幸夫

Editorial Report
話題の最前線
おもちゃづくりの効用 
芸術教育研究所

Exercise for the Knee
膝OAのための「ヒザイタ改善エクササイズ」
膝OAのための水中コンディショニング 2
小谷さおり

Foam Roller Exercise
ケース 2 骨格や関節の動きに関する理解
有吉与志恵

スポーツの「芯」
映画が描くスポーツをめぐって
山田ゆかり


特集 東洋の養生法
「養生」という言葉は、最近日常会話ではあまり聞かなくなった。しかし貝原益軒の『養生訓』が取り上げられる機会は増えている。また五木寛之著『養生の実技』が話題になり、「養生」復活の兆しもある。
 この養生について、全国大学体育連合のメンバーが上海体育学院を訪れたことから、「大学体育養生(ようせい)学研究会」が発足した。大学という教育機関で養生を扱うというのは、異論もあったようだが、それが「日本養生学会」に発展している。
 その経緯も含め、まず横澤先生(P.6)にうかがった。近年は「生きる力」と呼ばれ、根源的な生命力のようなものが弱ってきていることが問題にされているが、横澤先生が勤務する東京女子大学でも同じ問題が生じているようだ。スポーツをどうこういう前に、呼吸、立つこと、座ることなどができていない。授業の前に私語が交わされ、それを静かにするため、呼吸法を取り入れたところ、それが好評だった。思えば、そういうひとときを持ったことがなかったのだという指摘はグサリとくる。忘れてしまっている大事なもの。正座、お辞儀、箸の扱いなど、われわれ日本人が大事にしてきたことが崩れつつある。しかし、その作法や所作の意味は深い。とても考えさせる話であった。
 中国からきて日本の長野県で教鞭をとる張先生(P.10)は、さすがに中国の養生に通じていて、その語る思想も奥深い。日本人は型にとらわれすぎるところがあるという指摘も重要である。太極拳でもヨガでも、格好を真似するところから入るが、同じ格好に見えても、運動や姿勢の中身はぜんぜん違うということは大いにありうる。
 その太極拳を「科学する」というゼミを東京大学で行っている跡見先生(P.14)は、もともと理屈がつかないことがきらいで、ゆえに科学の道を選んだ。東洋の養生法にしても「わけのわからない」ことはいやで、納得のいく説明がほしかった。なぜ、そうするのか。このゼミで太極拳を指導する石水極子さんは、跡見先生の疑問に明確に答えた。科学で評価していかないと教育現場でのプログラムに入っていかない、そう考え、このゼミではさまざまな分野の研究者も協力し、データがとられている。その成果が実を結ぶ日も遠くないだろう。
 日本には日本の養生法がたくさん根付いている。鹿島田先生(P.18)には橋本敬三氏が考案した操体法を中心に、佐藤氏(P.22)には長井津氏が創案した真向法について紹介していただいた。一朝一夕に覚えられるものではないが、興味を抱かれた方はぜひ試してみていただきたい。新たな発見がいくつもあるはずである。
 思えば、われわれの生活は、とくに昭和30年代あたりから急激に変化してきた。畳のない家もそう珍しくはない。どんどん西洋化される環境の中、日本的なるものや東洋的なるものが片隅に押しやられてきた。しかし、馴染み深いそれらのものが再び大切にされようとしている。単なる復古趣味ではなく、そこに科学の眼を持って捉えなおす姿勢こそ必要であろう。(清家)

連載その他
 綿引先生の連載(P.29)は、今号より徳島大学の荒木先生が担当する。第1回はコオーディネーション理論における“発想”。「関係性」という言葉をキーワードに、その発想について言及している。コオーディネーション理論をトレーニングの世界では最も遅れた分野であると記されているが、それだけ運動の枠を超えた広い範囲で活かされている。次号より運動とその周辺に言及していただくが、極めてエキサイティングな連載になりそうだ。
 堀居先生の連載(P.33)は引き続き野球肘がテーマ。前腕伸筋群、前腕屈筋群、上腕伸筋群、上腕屈筋群における筋力強化による予防法について、次号と2回に分けて紹介する。
 ACL損傷を発生させる要因に関する考察をした浦辺先生の第2回連載(P.38)では、ノンコンタクト損傷の発生件数、発生率の高い種目、発生機序などがレビューされた。ACL損傷は総じて左脚に多くみられ、男女を比較すると女性のほうに多発する。損傷発生の共通した特徴が挙げられているので予防上の参考になる。
 話題の最前線(P.42)では芸術教育研究所を取材し、おもちゃづくり、遊びの効用を聞いた。おもちゃと言えば子どもが浮かぶが、近年は高齢者を対象とした取り組みも増えている。スポーツや運動と同様に楽しみを提供しているが、表現力や工夫する力の向上にも一役買っている。子どもと高齢者の世代間交流の手段の1つともなっているおもちゃづくり、遊びから学べることは多い。
 小谷さんには、前号に続き水中コンディショニングを取り上げていただいた(P.45)。改善期と緩和期による運動の目的の違いに触れながら、10のエクササイズを紹介している。水慣れしていない人でも実践できるよう注意点を細かく解説しているので、ぜひ指導の現場で役立ててほしい。
 有吉さんによるフォームローラーエクササイズ(P.48)では、ケーススタディとして腰痛の場合を挙げていただいた。今回紹介されたのは脚でフォームローラーを転がすエクササイズ。大きな力を使うことなく深部の筋肉を動かすことができるため、無理なく行うことができる。
 スポーツの芯(P.50)は米・アカデミー賞主要4部門を受賞した映画「ミリオンダラー・ベイビー」について。高評価を受ける同作であるが、山田さんにとっては必ずしも満足のいくものではなかったようだ。映画で描かれるスポーツをどう捉えるか。人それぞれであるが、柔軟な姿勢で観賞すれば現実に役立つ新しい発見もあることだろう。(長谷川)

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