Sportsmedicine No.65 November, 2004
月刊スポーツメディスン 11月号 通巻65号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,000円(+税) クリアランスセール特価500円(+税)
年間購読料10,000円(税込)

■特集 水中リラクセーション高齢者からアスリートまで
体重が軽減され、浮力があり、「水」という特殊な環境ではリラクセーションが得られやすい。今月の特集では、高齢者からアスリートまで幅広く実施されている水中でのリラクセーションに注目し、それぞれの方法について取材した。リラクセーションといっても目的は様々。各方面で参考にしていただきたい。
山本利春、向 康徳、尾陰由美子、窪 孝枝、小出敦也


■連載その他
Topic Scanning
新しい流れを読む
期待されるAED設置と人材育成──非医療従事者によるAEDの使用をどう捉えるか

Body Work for Relaxation
気づきを通じたリラクセーション──フェルデンクライスメソッドからのアプローチ
上半身を左・右に回す/口を柔らかくする/両腕を回転させる
深沢悠二

Stretching and Training for Injury Prevention
障害を予防するストレッチングとトレーニング
前脛骨区画症候群のメカニズムと予防法について
堀居 昭

Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ──ドイツの運動科学理論とともに
ちいさな国のおおきな闘い! その5
綿引勝美・高橋日出二

Exercises for the Knee
膝OAのための「ヒザイタ改善エクササイズ」
種目別概要7
小谷さおり

Sportsmedicine People Interview
職業意識と競技意識の狭間で
中井紀彦

Sportsmedicine Now
取材レポート:これからのスポーツ医療
アスリートが求める環境づくり
箕山クリニック

Foam Roller Exercise Program
病院で用いられるフォームローラーエクササイズ──体幹編 その2
鈴木俊一

Watch and Write!
スポーツの「芯」
スポーツの普及とは
山田ゆかり

特集 水中リラクセーション
 リラクセーションは競技スポーツにおいても長く重要なテーマであり続けている。力を入れることは容易にできても、力を抜くことは意外に難しいとはよく言われることである。世界的に見ても日本のプールの数は屈指のレベルであろう。水中でのリラクセーションは陸上とは異なり浮力が働き、効果が期待できる。
 では、水中ではどのような考え方でどのようなプログラム(方法)が用いられているのか、それを紹介してみようと考えた。
 山本利春先生(P.6)は、国際武道大学内でも水中運動を用いたリハビリテーションを実施されているし、ご本人も日本ライフセービング協会などで水のスポーツとの関係も深い。国際武道大学がある勝浦にタラソテラピーの施設(テルムマランパシフィーク)があり、そこでの指導を担当されているのが向さん(P.12)で本誌にも水中運動の特集で登場していただいたことがある。タラソセラピー自体は一般の人のリラックスと美容も含めた健康増進に適したものとして活用されているが、これに着目したアスリートもいる。タラソテラピーは水中といっても「海水」を利用する。その点が特徴的だが、「海」の持つ力を改めて感じざるを得ない。ここでのリラクセーションも大いに参考になる。
 尾陰さん(P.12)にもかつての特集でアクアエクササイズの紹介をしていただいたが、この数年毎年ドイツを訪問、運動療法の知識と技術の研鑽に努めておられる。今回は「水中パーソナルトレーニング」というプログラムを中心に、そこでのリラクセーションについて40枚ほどの写真とともに解説していただいた。
 尾陰さんは、水中運動のエキスパートとして知られ、各方面での指導に携わっておられる。ここで紹介していただいた「水中パーソナルトレーニング」は陸上でのパーソナルトレーニングの水中編であるが、陸上とは異なり水中のほうがよりパーソナル、1対1の関係が深くなるような気がする。尾陰さんもクライアントが何回か指導することで打ちとけ思わぬことを相談されることがあるとおっしゃっていたが、それもわかる気がする。リラックスするということはそういうことも含むのであろう。
 窪さん(P.17)には、ワッツというプログラムを紹介していただいた。このプログラムを受けると涙が流れる人もいるという。リラクセーションの意味をもっと深く考えるべきなのかもしれない。
 小出さん(P.21)は主にアスリートをみてきたが、受傷後から競技復帰までのプログラムにおいて水中でのエクササイズおよびリラクセーションは確かに効果的である。施設が必要という難点があるが、もっと注目されてよいものであろう。

連載その他
 深沢先生(P.29)は、温和な感じだが、実はかなり神経質だそうだ。メンタルトレーニングに興味を抱く人の多くがメンタル面で問題を感じた人であるように、健康法に関心が高かった深沢先生は座禅も本格的に取り組んだ。その著書『からだと心のマネジメント』にも記されているが、すぐに緊張し、呼吸も荒くなるタイプだったという。そういう人がフェルデンクライスメソッドに出会い、人生が変わった。今でも何かあると、フェルデンクライスメソッドで心とからだを落ち着けるという。先生が紹介されるレッスンも機会に応じてうまく活用していただきたい。
 堀居先生(P.32)のスポーツや運動によって生じる障害をストレッチングやトレーニングで予防しようという発想はやはり現場をみてきた人のものだと思う。まず障害発生のメカニズムを知り、予防のために柔軟性と筋力を高めておく。これは必須のことだろう。さらには動作の問題、神経学的な問題も出てくるだろうが、まずはこれである。
 綿引先生(P.35)と高橋さんのドイツでのインタビューはドイツの運動科学理論の変遷を知るうえで重要な資料となっている。この連載ではコオーディネーションについて荒木先生らの実際の方法についても紹介してきたが、「運動を理解する」といういわば途方もないことの道のりを知るのはとても刺激的である。ただ、そこに政治的なことが絡んでくるから、事は容易ではない。
 小谷さん(P.38)のこの連載も読者が多く、現場での実践に広く活用されている。指導が忙しく、年内は休載とさせていただくことになった。少しの間だが、お休みである。3カ月後くらいから再開。よろしくお願いします。
 インタビューの中井さん(P.42)は、いわば変わった経歴である。クロスカントリースキーから救急の道に入った。クロカンで養った体力、気力が活かされることを知る。スポーツに打ち込むということはその後必ず財産となる。そこがもっと強調されてよいと思うが、世は直截お金や名誉を求める傾向が強い。いずれがなくともスポーツをやる意義は深い。
 箕山クリニック(P.45)を始め、若い人たちが新しい医療を志して、それを実現しようとされている。このコーナーではそういう試みをどんどん紹介したい。読者から「ここはいい」という施設などあればご推薦下さい。
 鈴木先生(P.48)にはフォームローラーエクササイズの病院内プログラムを紹介していただいている。これらは家庭でも実践可能なものである。「これは」と思っていただけるものはぜひご自身で試していただきたい。
 最後に山田さん(P.50)。「普及」とは何かについて、心温まる話を挙げていただいた。わかる人にはわかるが、みんな当然のことばかりなのだ。その当然のことが稀な時代であることに寂しさを感じるが、でもこういう人たちがまだまだいるということに希望と力強さを感じる。 (清家)

Copyright (c) 2004 Book House HD Ltd. All Rights Reserved.