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Sportsmedicine No.64 Sep-Oct, 2004
月刊スポーツメディスン 9-10合併号 通巻64号
A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,100円(1,000円+税) クリアランスセール特価550円(500円+税)[品切れ]
年間購読料11,000円(10,000円+税)
■特集 ウオーキングその指導と処方
3000万人以上が実践していると言われるウオーキング。ほとんどの人がどこでも気軽にできる運動であり、運動強度や量をコントロールしやすいため、運動処方においても最も推奨されることが多いエクササイズである。今月は、そのウオーキングの指導と処方に的を絞り、ウオーキング歴も指導歴も長い方々に取材した。日常のウオーキング指導においてぜひともご活用いただきたい。
高部郁夫、金谷美由紀、泉 嗣彦、坂本静男
7.有酸素運動、動作づくりとともに−−ボールを用いた腰痛体操
太藻ゆみこ・メディカルフィットネス研究所
■連載その他
Topic Scanning
新しい流れを読む
地域における健康増進法の具体策——文部科学省科学技術振興調整費シンポジウム
Body Work for Relaxation
気づきを通じたリラクセーション——フェルデンクライスメソッドからのアプローチ
背骨を伸ばす/長く自由な背中/屈筋
深沢悠二
Stretching and Training for Injury Prevention
障害を予防するストレッチングとトレーニング
アキレス腱の強化法について
堀居 昭
Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ——ドイツの運動科学理論とともに
ちいさな国のおおきな闘い! その4
Exercises for the Knee
膝OAのための「ヒザイタ改善エクササイズ」
種目別概要6
小谷さおり
Sportsmedicine Now
運動を専門とする医療を目指して
はちすばクリニック・東京都江戸川区
Sportsmedicine People Interview
トップアスリートと地域住民
高尾良英
Foam Roller Exercise Program
病院で用いられるフォームローラーエクササイズ——体幹編 その1
鈴木俊一
Watch and Write!
スポーツの「芯」
オリンピック・報道・競技者
山田ゆかり
特集 ウオーキング
今月は、広く実践されているウオーキングの指導と処方に的を絞り、4氏に取材した。
高部さん(P.6)は、もともとは史跡めぐりを契機に「歩き」の世界に入っていった。豊富な経験が指導にも活かされている。実際の指導現場での歩く姿も颯爽とし、しかも速い。こんなに速く歩けるかと思うほどである。
東京・お茶の水にある日本ウオーキング協会で歩く技法のみならず、靴の選び方まで指導していただいたが、1カ月で何十万歩と歩くわけであるから、靴や靴下も重要になってくる。中高年の人が多いからか、靴も比較的価格の高いものに人気があるようだ。デザインも機能も申し分なし。日常履く靴をウオーキングシューズにするだけで歩きたくなるかもしれない。
高部さんの話は具体的でわかりやすい。「歩くことが楽しくてしようがない」という思いが伝わり、楽しい取材であった。
金谷さん(P.13)には大阪のなみはやドームでお会いした。話を聞いていても、まさに今にも歩き出しそうな快活で活動的な人である。フィットネス・ウオーキングという言葉を知らない人もいるだろうが、歩くことを「フィットネス」として捉え、歩幅もスピードも日常的な歩行より大きく、速い。この取材を終えてから、日常の歩行でもフィットネス・ウオーキングになるよう心掛けると、なんだか腰の具合もよくなってきた気がする。金谷さんにはなみはやドームの前でフィットネス・ウオーキングをしていただいたが、なるほど速い。写真を撮るため、何度も歩いていただいた。まさに歩いているところがP.13の写真である。
泉先生(P.17)は医師として人間ドックで健診をしているうちにいろいろなことに気がついた。検査・問診項目に「歩数」はない。歩行不足が様々な生活習慣病の原因ではないか。そこで「1日10分でよいから」と歩くことを勧める。きちんと実践してもらえば効果が出てくる。検査項目のどれかはよくなる。そのよくなったものを指摘する。やがて本当に改善したい数値がよくなってくる。生活習慣病は昔「運動不足病」という言い方もした。動くことが少なくなったから様々な不調や疾患が起こるとすれば、動けばよいのである。それも日常的にそうであればよい。構えて「トレーニング」をしようとなると、なかなか続かない。だから「ライフスタイルウオーキング」なのだと言う。説得力ある話である。
坂本先生(P.22)にはかつて運動療法に関する連載を担当していただいていた。そこでもウオーキングの話はよく出てきた。ご自身も日常的にウオーキングを実践、その記録もつけ、連載でまとめておられた。先生は「最大脂質燃焼量」という概念によって、最も脂肪が燃焼する歩行スピードでのウオーキングを推奨されている。ある程度痩せるとそれ以上は痩せにくくなるけれども、血液成分、特にHDL2-コレステロールの値はよくなっていくそうだ。見た目だけでない効果もウオーキングには期待できる。
ウオーキング、つまり歩くことだが、取材してみると、なかなか奥が深い。歩くことは簡単なことでもあるが、考えるといろいろな要素がある。難しいことは言わず、ただ歩いてもよいのだが、歩くと脳が刺激され、いろいろなことを考えるものだ。「遠い、面倒」と思わず、「チャンスだ、歩こう!」となるのは意外に簡単である。
連載その他
深沢先生(P.29)は、背骨、背中のレッスンが中心。歳を取ってくると、特に背中、体幹がかたくなりやすい。首も腰も痛いとなってくる。そのまま何年も過ごしていると、ちょっとした動作も大変になってくる。簡単にできることで、リラックスし、リフレッシュできるとしたら、こんなによいことはない。ちょっとしたとき、ぜひやってみていただきたい。
堀居先生(P.33)はアキレス腱がテーマ。これから秋の運動会などでいきなり走ってアキレス腱断裂ということも珍しくはない。特に小学校の校庭はそう広くないことが多く、トラックの曲線がきつい。みなさん、ご注意を。
綿引先生(P.36)は引き続き、高橋さんとの共同インタビューシリーズ。日本にはアメリカの情報は入りやすいが、ドイツの運動科学理論はドイツ語という壁もあって、どうしても情報量が制限されやすい。しかし、ドイツの考え方はどうもアメリカの理論よりも実は日本人には馴染みやすいところがあるように思う。「理屈屋」のドイツ人らしいところもあるが、運動科学が広い裾野を見せ、これからとても刺激的世界が展開される気がする。
小谷先生(P.39)のヒザイタ改善エクササイズは人気連載のひとつ。今回は超多忙な中、寝不足の原因となる執筆をお願いすることになった。だが、内容はますます充実である。
インタビューの高尾先生(P.46)はスポーツドクターとして知られるが、藤沢で一般のフィットネスにも関わっておられる。これからはそれがスポーツドクターの自然な姿になるのではないだろうか。
鈴木先生(P.48)のフォームローラーエクササイズは、今月から体幹編である。動かしにくい体幹は、ローラーを使うと簡単に動かせる。ぜひ試していただきたい。
山田さん(P.50)はオリンピック報道について。誰しも一度は感じたことだろう。スポーツの見方はこれから変わっていくと思うのだが。
今月から新企画としてスポーツ医療の新局面を紹介していくことにした。その第1回で「はちすばクリニック」を取材。地域に根ざし、スポーツ医療を展開していく。しかもスポーツでは十分すぎる経験をお持ちの方々が診療に携わっている。クリニックのあり方も今後変化していくと思う。 (清家)
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