Sportsmedicine No.63 August, 2004
月刊スポーツメディスン 8月号 通巻63号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,000円(+税) クリアランスセール特価500円(+税)
年間購読料10,000円(税込)

■特集 私の腰痛体操状態と動きの改善のために
1.使い方が悪く、負担がかかって腰が痛いときの腰痛体操−−「3S体操」を中心に
 渡会公治・東京大学総合文化研究科身体科学研究室

2.筋緊張、疲労による腰痛の場合のストレッチングと筋力強化
 三村晃庸・治療院ミムラ

3.原因を見極めて改善を図る−−アスリートが実践する腰痛体操
 福田 崇・筑波大学体育総合実験棟技官、CAT (T)

4.「ほぐし」を目的とした100 回ストレッチ
 岩崎由純・NEC レッドロケッツアスレティックトレーナー

5.無理せず、動きをものにする−−日常生活に必要な柔軟性・筋力をつける
 山口奈津子・ヴィンテージ・ヴィラ横浜アクティビティディレクター

6.腰痛のある場合、もしくは腰痛予防として−−特に選手が家で実施できるものを中心に
 小出敦也・慶應義塾大学男子バスケットボールボール部、バスケットボールU-24日本代表チームアスレティックトレーナー

7.有酸素運動、動作づくりとともに−−ボールを用いた腰痛体操
 太藻ゆみこ・メディカルフィットネス研究所


■連載その他
Topic Scanning
新しい流れを読む
からだの感覚を考える−−大学体育連合関東支部平成16年度第1回研修会より

Body Work for Relaxation
胸郭、特に脇腹を柔軟にする/顔を柔和にする/片腕を後ろに回す
深沢悠二・IFF 公認インストラクター

Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ−−ドイツの運動科学理論とともに
ちいさな国の大きな闘い! その3
綿引勝美・鳴門教育大学、高橋日出二・コレスポ

Stretching and Training for Injury Prevention
障害を予防するストレッチングとトレーニング
アキレス腱炎のメカニズムと予防法
堀居 昭・日本体育大学

Exercises for the Knee
膝OAのための「ヒザイタ改善エクササイズ」
種目別概要5
小谷さおり・つえつえクラブ/ヒザイタ改善運動普及会

Sportsmedicine People Interview
スポーツにおける「キャリアトランジション」
田中ウルヴェ京

Foam Roller Exercise Program
病院で用いられるフォムローラーエクササイズ−−上肢編 その2
鈴木俊一・川口工業病院

Watch and Write!
スポーツの「芯」
スポーツファンについて−−プロ野球の場合
山田ゆかり・スポーツライター

特集 私の腰痛体操
 腰が痛いと何もできない。寝返りを打つのも大仕事になる。それほどでなくても、長い時間歩いたり、立っていると我慢できないくらい痛む。よくなったり、悪くなったりを繰り返す。結局からだの動かし方、姿勢などがキーになるが、リラックスさせるところはリラックスさせ、強化するべきところは強化し、腰に負担がかからない動きを身につけるのが遠いようで近い道である。
 かなり以前から「腰痛体操」という言い方で、腰痛持ちの人の予防として、また痛み始めたときの対応として、様々な方法が紹介されてきた。しかし、最近はあまり「腰痛体操」という表現は見聞きしなくなった。それでも腰痛体操のニーズは減ったどころか、増えているかもしれない。そこで、今月は、「腰痛体操」をキーワードに各氏に問い合わせ、その人が推奨する方法を取材してみた。
 渡会先生(P.6)は、臨床の場でも、大学体育の場でも、「上手なからだの使い方」を指導する。この取材では「かべ体操」や「肘まる体操」も出てきたが、今回は腰痛への対応を中心に紹介していただいた。取材当日、腰痛持ちの某高校陸上短距離の女子選手がいて、写真で示したように、実際に様々な運動を実践してもらった。その指導者にお手本をやっていただいたが、腰痛持ちの人とそうでないしかも鍛えている人との違いは明らかである。だが、その女子選手も運動を進めるうちに腰が楽になってきたようで、からだの仕組みを学びつつ運動を行うことがいかに大事かを目の当たりにした。
 三村先生(P.10)は、多くのアスリートをみてきた人である。試合の前などにコンディショニングで訪れる選手も多い。鍼治療とともに、動きの中での指導も行う。ストレッチングであったり、筋力であったり、動きそのものの学習であったりする。今回は、腰痛に的を絞って、その対応を紹介していただいたが、誌面の関係でごく一部でしかない。腰が痛いときにはその痛みから逆に腰を緊張させる動きになりがち。立ち方や座り方の指導には、その動きを解除させる動きの学習とも言える要素がある。
 福田さん(P.12)、岩崎さん(P.15)、小出さん(P.20)はみなアスレティックトレーナーである。つまり、普段からアスリートをみている。腰は膝や足関節とともにアスリートでもケガや障害が発生することの多い部位。どの部位もパフォーマンスには大きな影響を与える。特に腰は、「動けない」という状況をもたらす。日頃から鍛えているアスリートでも、いやアスリートだからこそストレスが腰に集中することがある。だからこそ、日々のケアが大事になる。福田さんはカナダでトレーナーの資格を取得、現在は筑波大学で各種選手に関わっている。岩崎さんはバレーボールチームのトレーナー、小出さんはバスケットボールチームのトレーナーとして活躍している。それぞれの個性、経験などが現れて、非常に興味深い内容を提示していただいた。もちろんアスリートだからという部分もあるが、大きな視点でそれは誰にでも通用することでもある。
 山口さん(P.18)もアスレティックトレーナーの経験がある。本誌でも50号で高齢者の筋力トレーニングに関して登場していただいたことがあるが、今回は職場である有料老人ホームでの腰痛への対応を紹介していただいた。
 そして太藻さん(P.22)。34号「転倒予防」でボール体操の模様をレポートしたが、今回は「腰痛体操」。しかし、その転倒予防と腰痛体操も共通する点がある。それは当たり前で、転倒も腰痛も、心身のバランスや機能低下、不適切な動作などから起こるのであって、「別々のもの」として理解する必要も必然もない。太藻さんの「ボールならそれができるんです」という言葉は、長い期間ボール体操に取り組んできた人だけあってとても説得力があった。こんな動きもできるのかと驚くほど、ボールを用いた運動は広がりが大きい。腰痛をきっかけに、自分のからだのアンバランス、偏りなどを再点検してみるのも、その後の人生を安寧に過ごす秘訣かもしれない。

連載その他
 深沢先生(P.29)の連載でも、「胸郭、特に脇腹を柔軟にする」というレッスンがある。これは腰痛対策としても有効であろう。
 綿引先生と高橋氏(P.34)にはインタビュー取材の第2弾を執筆していただいた。前回の「超回復理論はごみ箱入り」というノイマン教授の言説はショッキングながら、そうかもしれないという反応をもたらしたのではないか。「運動そのもの」をどうするか。これは意外に巨大な問題のようだ。
 堀居先生(P.37)の今回のテーマは「アキレス腱炎」。部位が部位だけに治りにくい。まずは予防に徹したいものである。
 小谷先生(P.41)には、ヒザイタ改善エクササイズとして、股関節外転筋群のエクササイズを紹介していただいた。日常生活ではほとんど股関節を外転する動作などしない人もいる。球関節として動きが多いところ。それだけに日常の動作として工夫が必要かも。
 インタビューは田中ウルヴェ京さん(P.44)。アスリートは極限での戦いを経験する。それがゆえにわかることがある。それを学問の基盤を得て、実践に生かす。そういうことは今後どんどん増えてくるだろうと思わせられる。
 鈴木先生(P.50)には前回の続編を紹介していただいた。このエクササイズは徐々にまた確実に普及しつつある。毎号役立つプログラムを紹介していきたい。
 山田さん(P.50)には紛糾しているプロ野球の話題から。スポーツは観るものでもある。観る人の感性、感覚、常識がそのスポーツを動かす。日本のプロ野球もどうやらそうなりそうである。(清家)

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