Sportsmedicine No.61 June, 2004
月刊スポーツメディスン 6月号 通巻61号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,000円(+税) クリアランスセール特価500円(+税)
年間購読料10,000円(税込)

■特集 呼吸メカニズムと方法
1.呼吸のメカニズムと運動との関わり
 山本正彦・東京工芸大学

2.呼吸について知り、上手に呼吸できるために−−大学の身体運動科学の授業で指導する「呼吸」
 渡会公治・東京大学身体運動科学研究室

3.呼吸に伴う動きと姿勢−−呼吸関連行動からわかること
 北一郎・東京都立大学

4.呼吸は動きである−−フェルデンクライスメソッドにおける呼吸
 深沢悠二・IFF 公認インストラクター

5.「養生」のための呼吸法−−陰陽五行説、導引の考え方に基づく呼吸
 成澤正治・日本武道中心・横浜武術院


■連載その他
Topic Scanning
「温泉」の活用とまちづくり−−温泉療養地ネットワーク支援事業

Body Work for Relaxation
気づきを通じたリラクセーション−−フェルデンクライスメソッドからのアプローチ
心身をスッキリさせる/手、腕の動き/足、脚の動き/体の奥深くに広がりを感じる
深沢悠二・IFF 公認インストラクター

Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ−−ドイツの運動科学理論とともに
ちいさな国のおおきな闘い!
綿引勝美・鳴門教育大学

Stretching and Training for Injury Prevention
障害予防のストレッチングとトレーニング
ふくらはぎにおける筋腱移行部の筋疲労と腓腹筋の肉ばなれのメカニズムと予防法
堀居 昭・日本体育大学

Exercise for the Knee
膝OAのための「ヒザイタ改善エクササイズ」 種目別概要3
小谷さおり

Sportsmedicine People Interview
NPO 横浜スポーツ医科学協会の立ち上げ
村上一郎・NPO 法人横浜医科学協会理事長

Foam Roller Exercise Program
ペインクリニックでの痛みに対するフォームローラーエクササイズ−−下肢編
井村康志・藤田保健衛生大学病院東洋医学診療センター

Information Technology
ITとスポーツ医療〔最終回〕 今後の人とIT
片寄正樹・札幌医科大学

Watch and Write!
スポーツの「芯」 スポーツマネジメント−−学生たちの憧れと試み
山田ゆかり・スポーツライター

特集 呼吸
 あくび、ため息、深呼吸。これらは思わずする日常の呼吸運動。もちろん、運動中はさらに呼吸は激しくなる。寝ているときももちろん呼吸を忘れることはない。考えてみると、呼吸は妙なものだ。1回1回の呼と吸の運動で、たぶんからだの中では大忙しの状態になっているのだろう。
 では、最初から、つまり基礎から呼吸について学んでみよう。
 ということで、特集は山本先生(P.6)のレクチャーから始まる。運動生理学で「呼吸」について学んだことのある人も、このレクチャーは改めて確認することもあるだろうが、新しい事実も多いのではないだろうか。大学院のときから、持久力に興味があり、あまり研究されていない呼吸に取り組まれている。マラソン選手の呼吸についても、山本先生の話を聞いていると、もっと「呼吸能力」を鍛えることで、さらに記録は向上するのではないかと思わせられる。呼吸筋を鍛える器具を使ってみた。5分にしますかと言われたが、5分は長い。1分でよいと思ったが、3分に設定。思いっきり吐いて、思いっきり吸う。それを2秒ごとに繰り返す。普段そんなことはまずない。2分が限度であった。マラソン選手は20分くらいは平気でやると言う。まさに「鍛える余地あり」である。気のせいか、このエクササイズをしたあとは、呼吸が楽なようであった。
 渡会先生(P.12)には東大の授業を再現してもらった。大学で自分のからだを知るため、運動による変化を心拍数や呼吸数など客観的な数値の変化によって捉えていく。それをグラフにする。つまり教科書に書かれているようなことを「自分のからだで確かめる」わけである。「頭」と「からだ」が分離している傾向が強い現代人だが、そういう作業によって、「頭」と「からだ」の距離は少しは縮まるかもしれない。「からだのことを知らない」ということを知るだけでも意義ある授業だろう。その中に「呼吸」の授業が入っているのは興味深い。こういう授業は小学校でもやるべきだと思う。
 北先生(P.15)の取材は田中夕子さんが担当。「あくび」の話から始まる。あくびとストレス反応という視点から見ると、意外にあくびは奥が深い。あくびをしたくなくても、しようとすればできるのはなぜだろう。次に、「呼吸と姿勢」の話。呼吸と姿勢に関係があるのは経験的にわかるが、姿勢の維持のために呼吸が変わるのでないかという解釈は興味深い。武道では呼吸に厳しい。優れた呼吸でないと、戦えない。そのメカニズムがわかってくると、あらゆるスポーツもまずは呼吸からとなるかもしれない。
 深沢先生(P.18)には、連載を執筆していただいているが、改めて呼吸についてうかがった。気持ちがよいことがキーのようで、目の前でゆっくり深く呼吸される様子はご自身の気持ちよさが伝わってくる。「慈悲」の気持ちがあると呼吸が楽になるというのはなんとなくわかる。呼吸は深いところで精神活動と密接な関係があるのだろう。例として挙げていただいた方法は誰でもできる。ぜひ、試していただきたい。
 成澤先生(P.21)は中国から帰国されたばかり。フィットネスクラブその他で導引や太極拳などの指導をされている。もともと気管支が弱かったから、からだに敏感になったと言う。13歳、つまり中学1年生から武術を始めた。プロフィールにも記したが、各種競技会で輝かしい成績を収めておられる。今年は上海国際武術博覧会で特別優秀賞も受賞された。成澤先生の話は、中国の古典に遡ったかと思うと、現代中国の話、また文化大革命の話、日本の町の話と、まさに縦横に広がる。このページ数ではとても紹介しきれない。今回の特集を契機に、東洋の養生術というものに改めて取り組んでみたい。

連載その他
 深沢先生(P.29)のレッスンは指導者にも好評のようだ。今回は特集の取材でもお目にかかったが、フェルデンクライスメソッドに出会って本当によかったと楽しそうにおっしゃる。ちょうど今年傘寿を迎えられた。まだまだお若く、顔色もよい。レッスンはまだまだたくさんあるとのこと。実践している人には楽しみが尽きない。
 綿引先生(P.34)はドイツから帰国され、今回はその報告でもある。コオーディネーショントレーニングは、いわば世界中で取り組まれているが、特にドイツ、アメリカ、イタリアで盛んに研究・実践されている。日本でも近年、関心が高まり、この連載でも荒木先生始め多くの人に様々な原稿を寄せていただいている。いつかしっかりまとめる予定だが、今回の記事はまた新たな展開がみられ、今後が期待される。
 堀居先生(P.37)の今回のテーマはふくらはぎ(腓腹筋)の筋疲労、肉ばなれである。ふくらはぎの働きは意外に重要である。日々、コンディショニングとトレーニングが大切になる。
 スポーツメディスンピープルとしては横浜スポーツ医科学協会の村上さん(P.40)に登場していただいた。NPO 法人となり、様々な活動を行っておられる。スポーツNPO は1300以上あるが、今後の日本のスポーツ環境づくりに欠かせない存在となっている。また詳しく紹介してみたい。
 小谷先生(P.42)の連載の愛読者も多い。前回はレイアウトを間違い、ご迷惑をおかけした。訂正内容については本文を参照していただきたい。
 フォームローラーエクササイズは井村先生(P.46)に下肢編を紹介していただいた。片寄先生(P.48)の連載は今回で一応終了。大きな仕事の完成をみて、改めてまた執筆していただくことにしたい。山田さん(P.50)は、大学での授業から始まった学生の活動の話。学生の力は社会を変えるほど大きい。しかし、スポーツを対象にこういう活動は過去あまりなかっただろう。今後が楽しみである。(清家)

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