Sportsmedicine No.57 January, 2004
月刊スポーツメディスン 1月号 通巻57号

A4変型判 52頁 中綴じ 定価1,000円(+税) クリアランスセール特価500円(+税)
年間購読料10,000円(税込)

■特集 高齢者の運動指導プログラムの特徴、事故対策など各種調査結果とともに
1 中高年有疾患者に対する運動プログラムの特徴と問題点
  青木 高・財団法人健康・体力づくり事業財団

2 健康増進関連施設の危機管理体制と事故発生状況
  神田 晃・昭和大学公衆衛生学ほか

3 「転倒予防教室」本来の意義
  武藤芳照・東京大学大学院教授

4 メディカルセンターとしての総合的な高齢者支援
  村永信吾・亀田クリニック リハビリテーション室


■連載その他
Topic Scanning
子どものからだと心 −−第25回子どものからだと心・全国研究会議より

Sports Science Essay
「間」の考察から運動そのものへ−−ドイツの運動理論とともに
ベルンシュタインの問い! その11
綿引勝美・鳴門教育大学

Body Work for Relaxation
気づきを通じたリラクセーション−−フェルデンクライスメソッドからのアプローチ
柔軟な足/合掌のレッスン/チャンティング
深沢悠二・IFF 公認インストラクター

Stretching and Training for Injury Prevention
障害を予防するストレッチングとトレーニング
前十字靱帯損傷のメカニズムと予防法
堀居 昭・日本体育大学

Exercises for the knee
膝OAのための「ヒザイタ改善エクササイズ」
エクササイズ:種目別概要
小谷さおり・つえつえクラブ/ヒザイタ改善運動普及会代表

Sportsmedicine People Interview
企業のスポーツメセナ
末包淳一・ヤマハ発動機株式会社プール事業部

Foam Roller Exercise
成長段階に沿ったエクササイズの組み立て その2
日暮 清・横浜F ・マリノスヘッドトレーナー

Information Technology
スポーツ医療とIT仕事術(8)
片寄正樹・札幌医科大学

Watch and Write!
スポーツの「芯」
変革を求めるアーティストと身体活動の接点
山田ゆかり・スポーツライター

特集 高齢者の運動指導
 高齢者が積極的に運動に取り組む姿はもう珍しくはない。本誌でも再三紹介してきた通り、疾患の有無にかかわらず、日本全国、高齢者が運動に参加している。
 人は加齢に伴い、自然の摂理とともに、弱点を抱えていく。そのままにしていると弱点は致命傷に発展していくことになる。そのままにせず、自ら身体を動かし、よりよい方向に導く。それが運動の意味になってきた。
 もちろん、そこには、適切な方法、強度、量、時間など不可欠の要素がある。単に、頑張ればよいわけでは決してない。
 しかし、その体制はまだ脆弱で、環境は徐々に整いつつあるものの、考えなければいけない点はまだまだ多い。
 今回の特集では、健康・体力づくり事業財団および昭和大学医学部公衆衛生学が中心になって行った大規模調査の結果を冒頭に掲げた。いずれも、詳細にして膨大なデータを有している。遂にこういうデータが日本でも提示される時代になったという感がある。読者は、どのようにこれらデータを受け止められたであろうか。  もちろん、今後、さらに詳細に検討されるべき課題は数多い。しかし、高齢者を中心するリスクファクターを抱える人口に対する運動指導は、単なる運動指導という枠を越え、老人医療費、労働人口、医療保険、診療報酬、QOL、まちづくりなど、様々な事柄と深い関係を有している。世界が経験したことのない未曾有のスピードで進む高齢化の真っ只中にいる日本。それは逆に言えば大きなチャンスでもある。ここで、何をどう考え、どう対応するか、それは世界が見守っていることでもある。
 今月の特集は、その一端を探った。まだまだ、さらなる企画が必要だと痛感する。読者の忌憚のないご意見を賜りたい。

連載その他
 綿引先生(P.29)と荒木先生に「出演」を依頼し、11月29日、神戸ウイングスタジアムでコオーディネーションのワークショップを開催した。その内容は、月刊トレーニング・ジャーナル2月号に掲載するが、運動やスキル、総じていうところのパフォーマンスについて、これまでとは違う、そして最もしっくり納まる説明が出てきた。それがコオーディネーションであろう。綿引先生は、様々な角度からこのコオーディネーションを論じ、語り、論じる。そのいきつもどりつ、が実に面白く、運動そのものを感じさせる。
 深沢先生(P.32)の連載は意外なところで「ファン」の声を聞く。「あれ、やってるんですよ。すごいですよね」。こういう声を聞くと、「へえ、この人が?」と思うものの、あとで、なるほどと思う。この連載は、読んでいても何の役にも立たない。少しでよいから、「やってみまししょう」。
 堀居先生(P.36)は今回前十字靱帯損傷がテーマ。スポーツ外傷予防に対して、医学面からのアプローチは多くなされてきたが、体育の面からは比較的少なかった。ストレッチングとトレーニングとに焦点を絞り、メカニズムの説明から具体的方法を提示する。この観点は、特にスポーツ現場ではこれからさらに重要になるだろう。
 小谷先生(P.40)の「ヒザイタ改善」の連載は、まだ「前哨戦」。膝OAはその人口が多いだけに、具体的な運動プログラムとなると、特にフィットネスクラブなどでは実例が少ない。小谷先生のアプローチはとても希少なのである。前号で記したように、このエクササイズは「動き」を示すビデオなりDVD なりが伴ってこそわかりやすい。そう考え、連載とともに企画を進めている。まだ少し時間がかかりそうだが、期待していていただきたい。
スポーツメディスンピープルインタビューではヤマハの末包(すえかね)さんに登場していただいた。スポーツ、スポーツ医療に関連する企業にとって、「企業メセナ」は絶対不可欠だと思う。単に製品が売れればよいという姿勢では企業そのものが成り立たない。「企業メセナ」はバブル期を経て、また新たなニーズが認識されている。企業とはそういうものなのだ。儲けるだけでは決して続かない。
 フォームローラーエクササイズプログラムの連載(P.46)では前回に続き、日暮氏に続編を紹介していただいた。このエクササイズ、徐々に浸透し、様々な症例も報告されるようになってきた。簡単なようで、効果は意外に大きい。これもみているだけと、実際にやってみるのとでは大きな違いがある。未経験の人にはぜひ試していただきたい。
 片寄先生(P.48)はご多忙の中、前号は休載させていただいたが、この号では多くの人が困っている「メール処理」について、面白いソフトを紹介していただいた。活動が増えるほど、メールの数は増える。このソフトの日本語版普及が待たれる。
 スポーツの「芯」の山田さん(P.50)。今回は身体活動をアートとして捉えた分野の話。「スポーツ」を旧来の意味で捉えるのはもう感覚的にそぐわなくなっている。それは少数の意見ではないだろう。と、思うのだがいかが?

★今年最後の号となりました。1年間ご愛読いただきありがとうございます。本誌も徐々に読者層が広まり、日本各地いろいろなところで声をかけていただくようになりました。もとよりスポーツメディスンは誰にも必要な知識であり、経験だと信じています。多くの専門家と実践者が豊かな交流を持てる場でもあります。21世紀はスポーツメディスンの時代でもあると言ってよいでしょう。今年1年のご愛読に感謝し、明年もよろしくご愛顧のほどお願い申し上げる次第です。(清家)

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