第10章 パフォーマンスを最大化するための栄養戦略 (プレビュー版 2017-05-15)  Marie Spano, MS, RD  本章を終えると  ・異なる競技における試合前・中・後の栄養面についての推奨を列挙することができる。  ・体重の増加や減少(増量や減量)のためのガイドラインを提供できる。  ・摂食障害の徴候と症状を認識することができる  ・摂食障害の疑いのある選手に対し、適切に関わり、専門家に照会するシステムを導入する重要性を理解することができる  ・肥満の有病率と原因を知ることができる  ・肥満者の評価過程を助ける知識を身につけることができる  試合前や試合中に選手が飲食するものは、パフォーマンスに影響を及ぼすことがあるとともに、試合後の食事はリカバリー(回復)の時間やイベントの間隔が24時間未満である場合、次のイベントや試合により大きな影響を及ぼす。したがって、本章では、試合前・中・後の栄養に注目するとともに、体重を増やしたい、あるいは減らしたい選手のためのガイドラインも提供する。加えて、体重を語るうえでは摂食障害についての情報を含めないことには完全ではない。摂食障害の徴候と症状を認識し、治療チームの積極的なメンバーであることは、ストレングス&コンディショニング専門職にとって避けることはできない。 試合前・中・後の栄養  長期間にわたる選手の食事実践は、健康やパフォーマンス全般に影響を及ぼすだろう。加えて、試合前や試合中に食べるものは、パフォーマンスに生理学的・心理学的な影響の両方を及ぼすことがあるとともに、試合後の食事はリカバリーに影響し、したがって次の練習や試合のパフォーマンスに影響するかもしれない。 試合前の栄養  試合前の食事は、適切な水分状態と、血中グルコースおよび貯蔵グリコーゲンレベルを最大するための炭水化物(糖質)の維持をもたらすとともに、飢えの苦しみを避けるのを手助けしてくれる(5, 25)。グリコーゲンは、高強度運動(>70%VO2max)中に用いられるエネルギーの主な形態である。いったんこれらの貯蔵が枯渇すると、選手は筋疲労を経験する(56)。肝臓や筋に貯蔵されるグリコーゲンは少量であり、全体で体重1kgあたり約15gである(1)。たとえば、80kgの男性は約1200kcalのグリコーゲンを貯蔵することができる。肝臓に貯蔵されたグリコーゲンは全身で使われる一方、筋組織に貯蔵されたグリコーゲンは筋によって使われる(56)。  競技パフォーマンスにおいて、水分とグリコーゲンは非常に重要な役割を果たしているにもかかわらず、試合前の食事の重要性や、パフォーマンスへ及ぼす影響について検証した研究は被験者や方法の点で難しいことから、明確ではない。運動前の高炭水化物食によって、疲労困憊までの時間が改善したという研究がいくつかあり(24, 93, 113)、また青年期男性において無酸素性パフォーマンスが改善した(71)が、別の研究ではタイムトライアルのパフォーマンスにおいて有効性はみられなかった(100)。これらの違いや、パフォーマンスをシミュレートした研究において試合での状況と実験室の設定を識別する要因(試合前の精神状態や気温、湿度、高度など)が考慮されていないという事実があるにもかかわらず、選手らはそれぞれ個別のニーズや自らの置かれた試合環境に合致させるために、文献に基づく一般的な試合前のガイドラインに適応することができる。  試合前の食事はすべて、摂取のタイミングや、食事および飲料の構成、種目あるいは競技、選手個人の特性を考慮に入れるべきである。試合までの時間が短い場合、胃の不調を最小限にするために、飲料や食事の量は少なくすべきである。速やかに胃を通過し、胃腸の痛みの可能性を最小限にするために、試合前の飲食物は選手が慣れていて(練習で試す)、脂質および食物繊維の少ないものであるべきあり、適度なタンパク質を含むべきである(タンパク質は長時間にわたって飽満感を促進する)(5)。  選手は試合前に摂取する炭水化物を、グリセミック指数が高いもの、あるいは低いもののいずれからも選ぶことができる(124)。これは、研究において、どちらがより有利であるとは示されていないためである(12)。もしグルコースなどの摂取した炭水化物によって、素早くインスリンが増加すると、運動開始時の血糖値の低下が引き起こされ、通常レベルに戻るまで約20分かかることが典型的であり、この初期の血糖値の低下はパフォーマンスに悪影響を及ぼさない(78)。 有酸素性持久系競技  一晩の絶食(食事を摂らない時間)の後、翌朝に長時間(>2時間)にわたって継続する身体活動を行う有酸素性持久力選手にとって、試合前の食事は最も重要となるだろう。朝、起床時において、血糖値は低く、肝臓のグリコーゲン貯蔵はかなり減少している。両方の条件とも、エネルギーとして利用できる炭水化物の量を減少させる。試合前の食事における炭水化物は、毎回の食事に炭水化物が含まれており、試合の3時間以上前に食事を摂った場合、顕著にグリコーゲン貯蔵を促進し、疲労困憊までの時間を改善することができる(27, 137)。  試合前の食事において、高炭水化物食と運動中に炭水化物−電解質スポーツドリンクを組み合わせて摂取した場合、スポーツドリンクのみと比較して有酸素性持久的能力(70%VO2maxで疲労困憊まで)が改善するかどうかを検証したクロスオーバー研究がある(23)。研究者らは、男性らに対して一晩の絶食後、以下の3条件で1週間の間隔を空けて3回のトレッドミル走を行わせた。すなわち(1)運動の3時間前に炭水化物食を摂取するのに加え、運動中に炭水化物−電解質ドリンクを摂取する、(2)運動の3時間前に炭水化物食を摂取し、ランニング中に水を摂取する、(3)低カロリーのプラセボドリンク(スポーツドリンクと同じ味)を運動の3時間前に、ランニング中に水を摂取する、という条件である。被験者は最初のメインとなるトライアルの2日前に体重測定を行い、摂取した食事を記録する。彼らは各トライアルの前の2日間、同じ食事を繰り返した。3トライアル間において、毎日の平均摂取カロリーに差はなかった。高炭水化物食を運動前に摂取することにより、事前のプラセボドリンク摂取とランニング中の水の摂取を比較して持久的ランニング能力が9%改善した。しかしながら、高炭水化物食+ランニング中のスポーツドリンク摂取は、事前のプラセボおよびランニング中のスポーツドリンク摂取と比較して持久的ランニング能力が22%改善した。これらの結果は、運動前あるいは試合前の高炭水化物食は有酸素性持久力ランニング能力の改善を手助けできることを示している(23)。  長時間にわたって低炭水化物食とグリコーゲン貯蔵が枯渇した状態で運動を始めることに適応した持久的競技選手は、タンパク質をエネルギーとして用いるために筋を分解し、また免疫および中枢神経系機能を急性に抑制するかもしれない。したがって、運動前の高炭水化物食は、骨格筋の分解を抑えるのに役立つとともに、免疫および神経系機能に対しても炭水化物を供給する(20, 72)。長年にわたり、低炭水化物食の摂取に適応することで、運動中のエネルギー源として大量に貯蔵された脂質への依存が増加するが、グリコーゲン貯蔵が少ない状態でトレーニングを行うことは、免疫および中枢神経機能を抑制するかもしれない(20, 45)。タンパク質分解について検証した研究では、6名の被験者は炭水化物ローディング(カーボローディング)プロトコルまたは炭水化物枯渇の後に61%VO2maxで1時間サイクルエルゴメータを漕いだ。炭水化物が枯渇した状態では、タンパク質分解は1時間あたり13.7gと算出され、これは運動中に用いられるカロリーの10.7%であった(72)。  試合の数時間前に摂取する、運動前の食事は有酸素性持久力パフォーマンスの改善を助け得るということは明らかである。しかしながら、スタート時が極端に朝早い場合、食べたいというのと同時に最大限眠りたいことから、複雑となることがある。たとえば、スタートラインに午前7時に立つべきランナーが、食べるために午前3時、4時に起床するというのは実際的ではない。このシナリオ(状況)に当てはまる選手は、スタートの1〜2時間前に、少量の食事を摂る練習をすべきであり、また試合中に適切な量の炭水化物を摂取することを確実なものとすべきである。  以下に、各選手の個別ニーズに合致させることのできる一般的な推奨を示す。多様な競技における選手のニーズについて確定するには、また各主要栄養素がパフォーマンスに及ぼす影響について確定するには、さらなる研究が必要である(95)。これが完了するまで、有酸素的持久力選手のためのガイドラインが、他の競技へも適用される。  ・もし必要であれば、運動の数時間前に水分の吸収と尿の排出ができるよう、選手は事前に水分摂取すべきである。尿比重(USG)の値は1.020未満であるべきである(112)。  ・吐き気を催しやすい選手や、試合中に下痢をしたことがある選手、試合前に不安や落ち着かない、興奮する選手、高強度の競技を行う選手(揺れや衝撃により胃の不調を増加をもたらすことがある)、暑熱下で試合をする選手は、少なくとも4時間前に食事を摂ることを考慮したいかもしれない。試合の4時間前までに食事をしたい選手は、体重1kgあたり約1〜4gの炭水化物と、0.15〜0.25gのタンパク質を含めるべきである(124)。  ・もし試合前の食事が運動の2時間前である場合、選手は体重1kgあたり約1gの炭水化物を摂取することを目標とすべきである。選手は個別化された水分補給計画に従うべきである。暑い中で長期時間にわたって活動を行う際には、1Lあたり20〜30mEqのナトリウム(460〜690mgの塩化物をアニオンとして含む)を、また1Lあたり2〜5mEq(78〜195mg)のカリウムを含み、そして炭水化物濃度は5〜10%であるスポーツドリンクを摂取すべきである。  ・食事の時間帯が試合開始により近接している場合、運動前の食事はより少量にすべきである。加えて、食事が試合の1時間前である場合、炭水化物源は液体のものであることが好ましい。なぜなら、固形の食べ物よりも素早く胃を通過するためである(5)。ゲルやグミに類する炭水化物源もまた、非常に素早く消化される。表10.1に、それらの推奨についてまとめているとともに、食品の選択肢の例を挙げている。  選手らは、何を食べたかや、食事あるいは軽食をいつ摂取したか、練習中にどう感じたかの記録を記録したいと思うかもしれない。食べたものの種類や量、練習に対する相対的な食事の時間帯を記録することによって、パフォーマンスや胃の不調への問題を特定し、またよりよい試合前の食事の計画を立てることができるかもしれない。  >試合前の食事の第1の目的は、水分を維持するための十分な飲料と血中グルコースおよび貯蔵グリコーゲンを最大化するための炭水化物(糖質)を供給し、空腹を満たすことである。 カーボローディング  筋および肝臓のグリコーゲンの涸渇は、長時間にわたる有酸素性持久力運動において疲労をもたらす(109, 123, 133)。ゆえに、有酸素性持久力イベント前において筋グリコーゲンを増やすための炭水化物ローディング(カーボローディング)と呼ばれる手法が数十年にわたって用いられてきた。また、カーボローディングには多くのバリエーションがあるが、すべてグリコーゲン貯蔵と、それによるイベント後半における炭水化物利用能を最大化するために、イベントまでの数日間、高炭水化物食を摂取することを含んでいる(25)。カーボローディングは、長距離走者や自転車ロード競技選手、クロスカントリースキー選手その他有酸素性持久力選手といった貯蔵グリコーゲンを枯渇させる危険性のある人にとって有用である可能性があり、おそらくそれ以外の選手にも同様に有用であるかもしれない(105)。  一般的に用いられているカーボローディングの手法は、試合の1週間前の週に、3日間高炭水化物食を摂ると同時にトレーニングのテーパリングを行い、試合前日に完全休息を取るというものである。食事は、十分なカロリーであるとともに、炭水化物を1日に体重1kg当たり8~10g含むものとする。この方法によって、筋グリコーゲンの貯蔵は通常より20~40%増加する(25)。しかしながら、より多くの摂取、すなわち体重1kgあたり10〜12gの炭水化物をマラソン前の36〜48時間に摂取することが示唆されている(19)。  複数の研究において、カーボローディングは男性において有効であることが示されている(123, 139)。しかしながら、女性における研究結果はさまざまである。1つの研究では、平均のランニング歴がこの研究までの12カ月にわたって週に平均53kmで典型的な炭水化物摂取が総摂取カロリーの65%未満である8名の20〜40代で体重の安定した、正常月経の女性ランナーを対象として、有酸素的持久力パフォーマンスと基質利用に対するカーボローディングの効果を検証した(7)。女性らは3つの異なる各実験食の4日後に自己ペースでの24.2km(15マイル)のトレッドミル走を行った。すなわち、(1)炭水化物サプリメント(カロリーの50%を炭水化物から)、(2)カーボローディングとサプリメント(カロリーの75%を炭水化物から)、(3)プラセボ(カロリーの50%を炭水化物から)、である。炭水化物サプリメント群と、カーボローディング+サプリメント群の両群において、運動前に6%の炭水化物-電解質溶液を摂取(6ml/kg)し、運動中は20分おきに摂取した(3ml/kg)。またこれら(炭水化物サプリメント群とカーボローディング+サプリメント群)は、ランニング中により多くの割合のエネルギーを炭水化物から摂取したが、両群間のパフォーマンスにおいて有意な差はみられなかった。しかしながら、両方の総カロリーおよび1日あたりの炭水化物のグラム数については報告されていない。したがって、総カロリーあるいは炭水化物の摂取(またはその両方)が、ランナーらに対して適切ではなかったかもしれない。それに加えて、本研究における被験者の数が少ないことから、もしより多くの被験者が含まれる場合にパフォーマンスに差が見出されるかもしれない(7)。  別の研究においては、最大下運動テスト前の4日間にわたって炭水化物およびカロリー摂取ののどちらか(または両方)、またグリコーゲン貯蔵量の性差が不適切であったために、炭水化物の摂取をカロリーのうち58%から74%へと増加させたとき、男性においてはグリコーゲン量が有意に増加したが、女性選手では増加しなかったということを研究者らは見出した(123)。同じ研究者らは、フォローアップ研究において、ともに十分なトレーニングを積んだ男女各6名のグリコーゲン貯蔵量について検証した(125)。被験者らは無作為に4日間にわたって3つのうち1つの食事に割り当てられた。すなわち、高炭水化物食(総摂取カロリーの75%)、高炭水化物食+追加のカロリー(総摂取カロリーの75%を炭水化物から、そして総摂取カロリーを34%増)、習慣的な食事のいずれかである。男性においては、習慣的な食事よりも、高炭水化物食および高炭水化物食+追加カロリー食は、グリコーゲンレベルが有意に高くなった。しかしながら、女性においては高炭水化物食+追加のカロリー食のみが、習慣的な食事と比較して有意にグリコーゲン貯蔵量が増加した。高炭水化物食条件においては、男性の炭水化物の総摂取量は、体重1kgあたり7.9gまで増加したが、情勢では体重1kgあたり炭水化物は6.4gのみであった。酵素活性で測定したグリコーゲン利用能には、男女間で差はみられなかった。したがって、過去の研究において、カーボローディングに由来するパフォーマンスの改善がみられなかったという失敗は、おそらく、全般的な炭水化物の摂取が不適切であったためであろう(125)。この説(多くのプロトコルにおいて、女性は十分な総量の炭水化物を摂取していないというもの)は、女性自転車選手での研究により補強されている。トレーニングを積んだ女性自転車選手が、3〜4日間にわたって中程度の炭水化物食(カロリーの48%が炭水化物)を摂取し、続いて3〜4日にわたってカロリーの78%が炭水化物である食事を摂取したところ、中程度の炭水化物食を7日間摂取した場合と比較してグリコーゲン貯蔵が顕著に増加し、疲労困憊までの時間が改善した(133)。研究者らは、単位体重当たり同量の炭水化物を摂取した場合(体重1kgあたり1gの炭水化物を運動直後と運動完了から1時間後)、運動から4時間後のグリコーゲン貯蔵能は、男女で違いがないことを明らかにした(122)。また、女性においてはホルモンの差により、月経周期のうち黄体期においては卵胞期の早期と比較してグリコーゲン貯蔵能が大きいが、カーボローディングはこの差を埋め合わせることができる(94)。  女性におけるカーボローディングに伴う主な課題は、日々のカロリー摂取全般であるようだ。習慣的にカロリー摂取が2400kcal未満である女性は、より多くの炭水化物を摂取することは困難かもしれない。したがって、女性競技選手はグリコーゲン貯蔵を増加させるために総摂取エネルギーを2400kcal以上に増やすとともに高炭水化物食を摂取する必要があるかもしれない(123, 133)。  カーボローディングについての研究の大部分は有酸素性持久力選手において行われているが、高強度の競技におけるカーボローディングについて検証しようとした研究もいくつかある。ランダム化クロスオーバーデザインにおいて、平均で46%のカロリーを炭水化物から摂取していた7名のプロサッカー選手が、測定の2日前から39%あるいは65%を炭水化物から摂取した。各測定は6856mのフィールドでの身体運動(VO2maxの65%、57%、81%で行った)に続いて、疲労困憊までのトレッドミル走を、サッカーの試合に類似させることを意図して行った。高炭水化物食の摂取後、選手らの総走行距離は17.1kmであり、低炭水化物食の場合の距離と比較して0.9km長かった(有意差あり)。しかしながら、選手のうち3名は420m未満の差であり、このことは炭水化物食に対する選手の反応は顕著に変動することを示す(11)。サッカーの試合で選手がカバーする平均距離はかなり短いため(1つの研究によると、平均10.3kmで9.7〜11.3kmの範囲)、また間欠的で強度が変化するため、この研究の結果は、サッカー選手には適用できないかもしれない(68)。  カーボローディングがレジスタンスエクササイズのパフォーマンスに及ぼす影響について調べた研究では、8名の健康な若い男性が、4日間にわたる高炭水化物食(体重1kgあたり6.5gの炭水化物)または中程度の炭水化物食(体重1kgあたり4.4gの炭水化物)のいずれかにランダムに割り当てられた。この期間の後、彼らは12回×4セットの最大努力でのジャンプスクワットを1RMの30%の負荷で行い、セット間に2分間のレストを挟むレジスタンスエクササイズに参加した(44)。高炭水化物食と中程度の炭水化物食を摂取した被験者間に、パワーのパフォーマンスの有意差はみられなかった。したがって、この研究における4セットのレジスタンスエクササイズテストでは、高炭水化物食はパワーパフォーマンスの改善はみられなかった。しかしながら、もしより多くのセットを行った場合、あるいはより多くの炭水化物を摂取する方法、すなわち体重1kgあたり炭水化物8〜10gを摂取する場合に、パワーパフォーマンスに影響を及ぼすかどうかについては不明である(44)。  カーボローディングの効果の程度は個人で異なり、有酸素性持久的競技選手の間でも異なるため、一時的な体重増加といった負の副作用について検討し、個々の選手にとって価値があるかを試合前に見極めておく必要がある。 グリコーゲン貯蔵を最大化するための手段として、カーボローディングを用いる選手は、異なる種類の炭水化物が、その貯蔵に対してどのように影響を及ぼすかについても知っているべきである。たとえば、ドライビーンズやエンドウマメ、タマネギ、イヌリンその他オリゴ糖添加食品(栄養バーやシェイクなど)に含まれるオリゴ糖は、腸内のバクテリアによって発酵を受け、過剰な腸内ガスや膨満感が起こることがある。食物繊維は、野菜やフルーツ、全粒穀物、ドライビーンズ、エンドウマメ、ナッツ、種子類に含まれる(130)。表10.2には、68kg(150ポンド)の有酸素的持久力選手向けの研究に基づく炭水化物の推奨による献立の例を示している。  >カーボローディングは、グリコーゲン貯蔵を最大化するうえで効率的なストラテジー(戦略)である。しかしながら、選手はローディング期間中、カーボローディングの恩恵を感じるためには体重1kgあたり8〜10gの炭水化物を摂取すべきである。 競技中の栄養  45分以上継続する有酸素的持久力種目を行っている中で、あるいは間欠的な身体活動を行う競技中、選手が一日に複数の種目に参加する場合、栄養は重要な因子である。水分や炭水化物がパフォーマンスに影響を及ぼすことがある一方、アミノ酸の供給によって筋損傷が最小限となるかもしれない。  試合中に適切な水分補給を行うことは、パフォーマンスにおいて、また体温が上がることや脱水、熱中症を防ぐうえで不可欠である。選手らは、試合前に水分の吸収と尿の排出ができるよう、運動の数時間前に自分で水分補給をすべきである。加えて、彼らは体重が2%を超えて減少することがないよう、水分を十分に摂取すべきである(112)。最適なスポーツドリンクは、1Lあたり20〜30mEqのナトリウム(460〜690mgの塩化物をアニオンとして含む)を、また1Lあたり2〜5mEq(78〜195mg)のカリウムを含み、そして炭水化物濃度は5〜10%である(53)。より高い濃度の炭水化物を含むスポーツドリンク──8%超のものもある──は、胃の通過時間(どれほど素早く胃が空になるか)を長引かせ、胃の不快感を導くかもしれない(82)。したがって、炭水化物の濃度は6〜8%とするのが理想であるだろう(112)。  子ども向けの水分摂取ガイドラインは、異なっている。米国小児科学会によると、体重が40kgの子どもは、水または味がついて塩が加えられた飲料を練習中20分おきに148ml(5オンス)、また体重が60kgの青年は266ml(9オンス)を、たとえ喉の乾きを感じていなくても摂取すべきである。同学会では、塩化ナトリウムの濃度について15〜20mmol/L(2パイント=946mlにつき1g)とすることを推奨しており、これにより自発的な水分補給が味のない水と比較して90%増加したことが示されている(4, 13, 138)。これらの推奨にかかわらず、一度に256ml(9オンス)の飲料を摂取することは、青年においては量が多く、胃の不快感を引き起こすかもしれない。したがって、これらのガイドラインは選手に対して個別に調整する必要があるかもしれない。 有酸素性持久系競技  長時間にわたって継続する有酸素性持久力運動中における炭水化物の摂取は、パフォーマンスを改善することがあり、また運動に起因するストレスを軽減したり免疫系機能を抑制することもある(90)。スポーツドリンクにより炭水化物が供給されるものの、長時間にわたって継続する高強度運動時の炭水化物利用には追いつかない(過剰な量のドリンクを摂取しない限り)。実際に、強度の高い運動を行う選手は、1時間あたり600〜1200kcalを消費していることがある(66)。いくつかの研究では、有酸素性持久力運動中における炭水化物摂取は1時間あたり28〜144gの範囲であり(より高いのは自転車運動中であった)、これは限られているグリコーゲン貯蔵への依存を減らし、また疲労困憊までの時間を延ばし、エネルギーに用いられる炭水化物の定常的な流れをもたらすことによってパフォーマンスが向上することがある(26, 62, 85, 128)。  前述のように、1時間あたりの摂取がより多いにもかかわらず、外因性の(外部の、すなわち摂取した)炭水化物の酸化のレート(訳注:時間に対する酸化の割合)は、1分あたり1.0〜1.1であり、これはおそらくグルコースの吸収率によるものであり、また1gのグルコースが血流へと運ばれる時間あたりの割合に上限があるためだろう(61)。しかしながら、炭水化物の酸化レートは種類によって異なる。グルコースやスクロース、マルトース、マルトデキストリン、アミロペクチンは素早く酸化される。フルクトースやガラクトース、アミロースの酸化レートは25〜50%遅い(61)。加えて、各種の炭水化物はそれぞれ異なる輸送システムを持っている。もし選手がある1つの種類の炭水化物、たとえばフルクトースを摂取すると、腸のフルクトースを輸送するトランスポーターが飽和に達し、炭水化物の消化が制限される。したがって、スクロースやフルクトース、グルコース、マルチデキストリンといった複数の種類の炭水化物を一緒に摂取することは、等カロリーの糖を1種類のみ摂取するのと比較して、炭水化物の吸収レートと外因性の炭水化物の酸化レートを高める(58)。炭水化物利用のレートを改善することに加え、運動中に複数の炭水化物を摂取することで、120分間の自転車漕ぎ後の自転車タイムトライアルパフォーマンスが改善することがわかった(研究デザインは、選手が最大努力を行わなければならない、有酸素性持久力レースの最後の数ステージを模したものである)。このとき、被験者は1分あたり1.8g(1時間あたり108gの炭水化物)のレートで、グルコースとフルクトースの組み合わせ vs. グルコースのみを与えられた(28)。加えて、15分ごとに36gのグルコースとフルクトースを与えられた選手は、15分ごとにグルコースのみを36g与えられた選手よりも、100kmのサイクリングタイムがよい成績であった(128)。  実際に炭水化物を摂取するのに加え、単に炭水化物飲料で口をすすぐ(実際には摂取しない)のみで約1時間、2〜3%パフォーマンスが改善したようであり、これは中枢神経系の影響によると考えられている(60)。  有酸素的持久力の活動中に炭水化物を供給することに加え、炭水化物のジェルにタンパク質を加えることにより、自転車漕ぎにおける疲労困憊までの時間が延び、またタンパク質そのものにより、またタンパク質によってもたらされる追加的カロリーにより、クレアチンキナーゼの上昇が抑えられる(111)。どのように有酸素性持久力のパフォーマンスに影響を及ぼすかについて検証した研究のメタ分析とレビューでは、まちまちな(どちらとも言えない)結果が明らかとなった(111)。疲労困憊までの時間を測定した研究でのみ、タンパク質を加えることで有意差が示された。しかしながら、これらの研究ではトライアル中のカロリー摂取が統制されておらず、したがってタンパク質を加えたことによるものか、あるいはタンパク質によって増加したカロリーによるものかは明確ではない。3つのタイムトライアル研究では、炭水化物のみと炭水化物+タンパク質との間に有意差はなかった(120)。 間欠的高強度競技  サッカーやテニス、バスケットボール、アメリカンフットボールといった多くのチームスポーツには、持続時間の短い、高強度の身体活動の繰り返しが含まれているのに加え、広範囲のスキルが関わっている。プレー中の疲労は、グリコーゲン貯蔵の減少あるいは涸渇、脱水といった多数の要因に由来する。水分および炭水化物の両方を供給することは、長時間にわたって継続する間欠的競技のパフォーマンスにおいて不可欠である。たとえば、長いテニスの試合は4時間になることもある──多くの有酸素性持久力種目よりもかなり長い。テニス選手は試合中は継続的に水分摂取ができず、また1時間あたり2.5Lの水分を失うことがあるため、チェンジオーバー(サイドが入れ替わる)のたびに200〜400mlの水分補給をするという推奨が発表されている(65)。水分状態を維持することに加え、研究では炭水化物サプリメント摂取によるRPE(主観的運動強度)への影響はない(38)ものの、継続するプレー中のストロークの質(速度、正確性、エラー率の測定を含む)が改善することが示されている(132)。  サッカー選手においては、体重1kgあたり5mlの6.9%グルコース高分子ドリンクを各試合の15分前およびハーフタイムに摂取したところ、タックルやヘディング、ドリブルの成功やシュート能力といったいくつかのパフォーマンス測定において差はなかった(142)。さらに別のサッカー研究においては、炭水化物ー電解質飲料を摂取した群において、試合中のパフォーマンスのパラメータが改善したことがわかった。この研究においては、22名の男性プロサッカー選手が、7日間にわたって同じ食事(カロリーのうち55%が炭水化物から、25%が脂質から、20%がタンパク質から)を摂取し、試合前の3日間運動を控え、試合当日の試合開始4時間前に標準化された朝食を摂取した。彼らは2つのグループ、(a)炭水化物ー電解質ドリンク(7%の炭水化物、24mmol/Lのナトリウム、12mmol/Lの塩化物、3mmol/Lのカリウム)、または(b)プラセボ、のどちらかを与えられた。各群は、試合前に体重1kgあたり5ml、また90分の試合中15分ごとに体重1kgあたり2mlを摂取した。炭水化物ー電解質群は、プラセボ群よりも早くドリブルテストを完了した。加えて、正確性の評価は、プラセボ群と比較して、炭水化物ー電解質群のほうが高かった。しかしながら、コーディネーション(協調性)あるいはパワーのテストにおいては、両群間に差はみられなかった。この特定の研究において、炭水化物ー電解質ドリンクを補給することにより、プラセボ群と比較してサッカーに特異的なパフォーマンスが向上した(96)。  別の研究では、プレー中の炭水化物摂取が有用であることがわかり、これにはランダム化二重盲検プロトコルが用いられた。17名のサッカー選手が運動前に6.4%の炭水化物ー電解質ドリンクを体重1kgあたり8ml、その後15分ごとに体重1kgあたり3ml(合計で1時間あたり炭水化物52g)、90分間の間欠的シャトルテスト中に受け取った(3)。炭水化物ー電解質を摂取することで、運動前から運動を15〜30分継続するまで、プラセボと比較してスキル低下が抑制された。炭水化物摂取のトライアルでは、この時間内におけるスキルパフォーマンスの低下は3%であった一方、プラセボのトライアルではスキルパフォーマンスの低下は15%であった。しかしながら、このトライアルは低炭水化物食に続く炭水化物を涸渇させるエクササイズ、さらに一晩の絶食後に行われており、したがって炭水化物がパフォーマンスに及ぼす影響は、間欠的運動中の炭水化物摂取量によってのみ決まるのではないかもしれず、むしろ食事を摂取したかしていないか、あるいはグリコーゲンが涸渇状態にあるかどうかによって決まるのかもしれない(3)。  別の研究では、間欠的高強度シャトルをさまざまな強度(ウォーキング、ジョギング、ランニング、スプリント、ジャンプ)で行い、ハーフタイムは20分間の休息で区切り、続いてシャトルランを疲労するまで15分クォーターの4回行った(サッカーあるいはバスケットボールの試合を模した)。被験者は炭水化物-電解質ドリンクを運動前(6%の溶液を体重1kgあたり5ml)とハーフタイム(18%の溶液を体重1kgあたり5ml)に摂取した被験者は、プラセボ群と比較して疲労までの走行距離が37%長く、第4クォーターでの20mスプリントが有意に速かった。加えて、炭水化物摂取群は運動の後半の段階における全身の運動スキルテストでよりよいパフォーマンスを行っており、このことは間欠的競技において炭水化物-電解質飲料を摂取することが有利となることを示している(136)。 筋力およびパワー競技  炭水化物もまた、レジスタンストレーニングにおいて不可欠なエネルギー源であり、したがって筋力およびパワー競技においても不可欠である。一連の異なるウェイトリフティングのプロトコルを用いた研究では、被験者は顕著な量の筋グリコーゲンを使用したことがわかった(74)。これらの研究のほとんどにおいては、被験者はわずか数セットのエクササイズを行っていた。したがって、筋力およびパワー競技、あるいは筋力やパワーに依存するポジションの選手(ハンマー投げ、アメリカンフットボールのオフェンシブラインマン)は、筋グリコーゲンの貯蔵を涸渇させることがある。さらに、炭水化物の貯蔵がすでに低下した状態で運動を始めると、筋の分解が高まるだろう(72)。筋力およびパワーの競技選手は、試合前および試合中に炭水化物を補給することによって、グリコーゲン貯蔵を維持することができ、遅筋線維の筋疲労を抑えるかもしれず、またよりよいパフォーマンスをもたらす可能性がある(39, 54)。 試合後の栄養  試合後の食事は、選手が水分とグリコーゲン貯蔵を再補充し、筋組織を修復するのを助ける。したがって、練習や試合後すぐに摂取するものによって、次の活動に向けた身体の準備への手助けとなる。各選手の試合後の食事のニーズは、プレー中の強度、プレーした時間、体重や年齢、そしておそらく性別によって異なる。しかしながら、男性の被験者での研究はよく行われているのと対照的に、女性での研究は少なく、十分なデータがないために性別による推奨量は示されていない。  試合後、選手は失われた水分と電解質を補充すべきである。もし時間に余裕があるならば、通常の食事や軽食(いくらかのナトリウムを含むものが提供される)、飲料により、失われた水分と電解質が補充される。汗による大幅なナトリウム喪失がある場合、食べ物に塩を加えることもできる(51, 112)。ナトリウムは身体において水分を補充するのを助けるうえで不可欠であるため、選手は炭水化物-電解質スポーツドリンクあるいは水を、塩化ナトリウムを含む食べ物と一緒に摂る(あるいは食べ物に塩を加える)ことを選ぶことができる(79, 112, 118)。水分補給のストラテジーは、できるだけ個別化すべきである。レスリングや総合格闘技といった体重階級制の競技の選手は、最新の注意を払って自ら脱水し、試合前に水分を補給しようとするかもしれないが、計量から試合までの時間が短いことは、脱水状態で試合を始めるということを意味し、パフォーマンスの低下や健康上のリスクを招く。 有酸素性持久力種目  長時間にわたって継続する有酸素性持久力種目を行った後、次の練習セッションあるいは試合(どちらが先であっても)の前に炭水化物の貯蔵を再補充すること、また筋を構築し修復するために十分なタンパク質を摂取することが重要である。グリコーゲン合成は、2つの明確に区分された段階において起こる。最初の段階はインスリンに依存し、30〜60分にわたって続き、グリコーゲン合成は素早く起こる。次の段階は数時間続き、グリコーゲン合成はより遅いペースで起こる。炭水化物が多量、すなわち体重1kgあたり1時間あたり1.0〜1.85g、運動あるいは試合の直後、また15〜60分おきの規則的な間隔で5時間にわたって摂取した場合は、グリコーゲン合成は素早く起こる(57)。選手は長いトレーニングセッション後、グリコーゲン貯蔵をすぐに、あるいは24時間の中で補充することができるかもしれないが、これは試合後においては必ずしも当てはまらない。マラソンのような著しく激しい有酸素性種目は、測定できるほどの筋損傷を引き起こし、選手がより高い炭水化物食を摂取したとしても、おそらく代謝障害あるいは筋細胞への力学的損傷により、グリコーゲン再合成の遅延をもたらす(9, 117, 134)。  選手らはしばしば試合終了後すぐに炭水化物を摂取するように言われることがあるが、研究ではいつもそのようにする必要はないことが示されている。すなわち、炭水化物を摂取するまで、イベント終了後2時間待つことができる(2時間経過してから炭水化物を摂取してもよい)。グリコーゲン再合成のレートについて調べた研究では、2時間にわたってグリコーゲンを涸渇させる自転車運動後の24時間で、5回の高グリセミック食が選手らに与えられた。最初の群では、3回目までの食事が運動後4時間の中で与えられた一方、2番目の群では3回目までの食事は運動から2時間経過してから6時間経過時点まで規則的に2時間おきに与えられた。グリコーゲン再合成のレートは、両群で運動の8時間後および24時間後で同等であった(98)。したがって、回復するうえで24時間以上の時間をかけることのできる選手は、適切な量の炭水化物を摂取するのであれば、運動後の食事が遅くなってもよく、24時間の中でグリコーゲンを補充できるようである。しかしながら、一日に2、3回の練習を行う、あるいは回復にかけられる時間が24時間未満しかない選手は、イベント後すぐに高炭水化物を飲食し、素早くグリコーゲン貯蔵を補充することを考慮したいかもしれない。  長時間にわたる有酸素性持久力運動によって、筋組織は分解されるため、有酸素性持久力選手の運動後の食事には筋の構築および修復が始まるのを手助けするためにタンパク質を含むべきであり、それによって練習や試合後の筋痛が抑制されるかもしれない(80)。練習後のタンパク質摂取には、別の利点もある。すなわち、炭水化物摂取が不適切であった場合(体重1kgあたり1時間あたり1.2g未満の炭水化物)に、グリコーゲン貯蔵のレートを増加させる(57)。ランダム化対照トライアルで、18名の一流オリエンテーリング選手が1週間に13のエクササイズセッションに参加した。オリエンテーリング選手の半数(PRO-CON群)はタンパク質飲料(体重1kgあたり0.3g)をトレーニング前に、タンパク質-炭水化物飲料(体重1kgあたりタンパク質0.3g+炭水化物1g)をトレーニング後に摂取した。残りの半数(CHO群)は、等カロリーの炭水化物のみの飲料を運動前後に摂取した。食事は、研究を通して追加のサプリメントを除いて一定に保たれた(タンパク質/炭水化物/脂質 が、15%/63%/22%)。基本の食事+サプリメントにより、PRO-CON群においては体重1kgあたり1日あたり3.0gのタンパク質と、8.3〜9.3gの炭水化物を摂取し、CHO群では体重1kgあたり1日あたり1.8gのタンパク質と8.8〜10.8gの炭水化物を摂取した。研究開始時および終了時に4kg走テストが行われ、2時間後に標準化された朝食を摂取した。PRO-CON群では、パフォーマンスが有意に改善した一方で、CHO群においてはパフォーマンスは改善しなかった。しかしながら、この研究からは、PRO-CON群とCHO群の間で差がもたらされたのは、タンパク質の摂取タイミングによるものか、あるいは一日の総タンパク質摂取量の増加によるものかは明らかではない(40)。  他の研究では、持久的運動後におけるタンパク質が重要であることが示唆されている。たとえば、単盲検のランダム化トリプルクロスオーバーデザインを用いて、タンパク質-ロイシン混合物の摂取量が、12名の持久的なトレーニングを積んだ男性が100分間の高強度自転車運動後(標準化された朝食摂取の3時間後。テストの前日はカロリーの必要量に基づき標準化され、炭水化物・タンパク質・脂質の割合は同じになるようにした)、筋線維タンパク質分画のレート(FSR、筋タンパク質合成)にどのような影響を及ぼすかが評価された。自転車選手らは、240分間のリカバリー期間のうち、最初の90分の間に、タンパク質/ロイシン/炭水化物/脂質 が 70/15/180/30 g 、または 23/5/180/30 g 、0/0/274/30 g(コントロール群)を4回摂取した。低タンパク質、低ロイシンサプリメント群(23/5/180/30 g)では、FSRがコントロール群と比較して33%±12%増加した一方、タンパク質およびロイシン追加群(70/15/180/30 g)においてはコントロール群と比較してFSRが51%±12%増加した。タンパク質およびロイシンを摂取した2群間には有意な差はみられなかったが、両群ともプラセボ群よりよく、このことは長く激しいワークアウト後において、タンパク質が重要であることを示している(110)。異なるワークアウト、絶食あるいは非絶食状態で運動を行い、タンパク質摂取量を変化(10〜90g)させて行った別の研究では、持久的運動後にFSRを最大化するうえで必要となる最低限のタンパク質摂取量は明らかとなっていない(18, 49)。加えて、持久的運動の直後の時間においてFSRを最大化することが、その後の時間におけるパフォーマンス向上に移行されるかについては明らかではない。そして最終的に、持久的運動後の理想的な時間においてタンパク質を摂取すべきかどうかは明らかでなく、トレーニングが絶食状態あるいは非絶食状態で行われたかに依存するかどうか、またタンパク質の総摂取量に依存するかどうかは明らかではない。しかしながら、1つの研究では、持久的運動後のタンパク質摂取が少なくとも3時間遅れると、その同化の効果を鈍らせることが明らかとなっている(73)。 高強度間欠的競技  間欠的高強度運動──バスケットボール、ホッケー、サッカーなど──に参加する選手は、1日に1ゲーム以上プレーすることがあり、時にはトーナメント戦の合間はわずか数時間であるため、ゲーム後の急速な回復が次のゲームのパフォーマンスに不可欠である。また、サッカーやアメリカンフットボール、ラグビー、テニスといった継続時間の長い高強度間欠的競技で競う選手は、筋グリコーゲン貯蔵量が顕著に減少することがあり、筋疲労がもたらされる(10, 55)。後に続く運動あるいは試合の前に筋グリコーゲンを完全に補充することは、疲労までの時間を延ばし、パフォーマンスを改善するかもしれない。サッカーの試合を模した研究デザインで、Nicholasらは6名の男性に対して同じ運動を連続する2日間で22時間の間隔を空けて行わせた──75分間の連続した長時間にわたる間欠的で高強度のシャトルランを、できる限り多く20mを往復(往復でジョギングとスプリントを交互に行った)。被験者らは、22時間の回復期に2つのうち1つの食事が割り当てられた。すなわち、体重1kgあたり10gの炭水化物を含むリカバリー食、あるいは通常の食事と等カロリーでタンパク質および脂質の多い食事のいずれかである。間欠的ランニング能力は、高カロリーでタンパク質および脂質の多い条件と比較して高炭水化物食の後に改善した(89)。またBalsomらは男性の被験者が運動セッション前の48時間に高炭水化物食を摂取後、低炭水化物食と比較して短時間(10分未満)および長時間(30分超)の両方において有意に多くの仕事を行ったことを見出した(10)。  高強度間欠的競技は、プレーの時間や強度、身体の大きさといった多くの要因によって決まる、ある程度の筋損傷を引き起こすことがある。運動後にタンパク質を摂取することによって、筋損傷のマーカーのいくつかが減少するのを手助けできることが、複数の研究によって示されている(34)。サッカーやアメリカンフットボールのような試合においてプレー直後に選手が摂取すべきタンパク質の量については、現時点では明らかになってない。運動後の炭水化物摂取によって、続いて行われるイベントあるいはトレーニングセッション、とくに時間的にお互いに近接している場合のパフォーマンスは影響を受けるが、最初のイベントあるいはエクササイズセッション後、4時間の回復期間の間にタンパク質を追加することによって次の運動のパフォーマンスは影響を受けないだろう(80)。 筋力およびパワー競技  筋力およびパワー競技の選手は、試合中のエネルギーを血中グルコースおよびグリコーゲンに依存している。1回のトレーニングでグリコーゲンの顕著な低下が引き起こされることがあり(74)、またグリコーゲン低下は力の発揮とアイソメトリック(等尺性)筋力を阻害するうえ、筋の弱化を目立たせるため、次の運動の前にグリコーゲンレベルを元に戻すことは不可欠である(39, 54)。筋力およびパワー競技の試合後の回復期の間、最初のトレーニングセッションあるいは試合から24時間の中で次の試合または練習を行う場合、選手らは運動後すぐに高グリセミック炭水化物を摂取することに集中すべきである。彼らが完全にグリコーゲン貯蔵を再補充するのに必要な炭水化物の量は、試合の強度やかかった時間、体重や筋量、運動前の食事(および試合前のグリコーゲン貯蔵状態)、試合中に炭水化物を摂取したかどうかといった多くの要因によって決まる。クロスオーバー研究においては、一晩の絶食後、8名の男性が片脚ニーエクステンションを1RMの70%で6セット、膝の伸展が完全伸展の50%に到達するのが不可能になるまで行うと、グリコーゲンレベルは71%まで涸渇した。レジスタンストレーニングセッションの直後および1時間後に再び、体重1kgあたり1.5gの炭水化物を摂取すると、グリコーゲン貯蔵量は6時間後に運動前の91%まで補充された。しかしながら、被験者がトレーニング直後および1時間後に水のみを摂取した場合、筋グリコーゲン量はかろうじて涸渇時のレベルを上回る75%であった(99)。  タンパク質の総量のバランスは、筋タンパク質合成と分解の両方によって決まる。そして炭水化物は筋タンパク質合成に影響を与えないものの、レジスタンストレーニングによって引き起こされる急性のタンパク質分解を抑制するのを手助けする。タンパク質分解の増加は、おそらく抵抗となる刺激、その人の全般的な栄養摂取、トレーニングあるいは試合前およびその最中の摂取したものよって決まる。トレーニング経験のない若い男性を対象とした1つの研究では、1回のレジスタンストレーニング後、急性のタンパク質分解が51%±17%増加したことが明らかとなった(14)。別の研究では、トレーニング経験のない男女各4名を対象として、コンセントリック(短縮性)あるいはエクセントリック(伸張性)エクササイズ後における混合筋タンパク質分画合成レート(筋タンパク質合成)および分画分解レート(分解)を測定した。合成のレートはエクササイズの3時間後、安静時と比較して112%、また24時間後には65%、48時間後には34%と、有意に増加していた。筋分解も、エクササイズ後の3時間および22時間でそれぞれ31%、18%と増加し、48時間後にベースラインに戻った(104)。相対的に少量である、30〜100gの間の炭水化物によって、筋タンパク質分解を十分に減少させることができる(16, 35)。また筋タンパク質分解もタンパク質のバランス全般において役割を担っているが、筋タンパク質合成のほうが、タンパク質のバランス全般においてはより大きな役割を担っている(35)。  筋を損傷するようなレジスタンストレーニング後にタンパク質を含むサプリメントを摂取することは、急性の筋タンパク質合成を増加させる。レジスタンストレーニング後に筋タンパク質合成を刺激するために、さまざまな量のタンパク質が用いられており、若い人における20〜25g(8.5〜10gの必須アミノ酸をもたらす)の質が高く高ロイシン、急速なタンパク質(血流のアミノ酸の素早い上昇を導く)において最大の刺激が起こったが、一方でより年齢の高い人においては40g以上が必要かもしれない(103)。米飯(ライス)は中程度のスピードでロイシンに乏しいタンパク質であり(しかし米飯タンパク質を摂取後、米飯中のロイシンは素早く血流に現れる)、米飯の摂取量がより多いと、ロイシン含有量でマッチさせた場合に同じ量の質の高いタンパク質と同程度、筋タンパク質合成を刺激した(63)。したがってタンパク質のロイシン含有量や、おそらくロイシン運搬のスピードが、筋タンパク質合成の刺激を最大化するうえで急性な変化をもたらす決定要因であるようだ。2〜3gのロイシンあるいは体重1kgあたり0.05gのロイシンを含むタンパク質が、若い成人において筋タンパク質合成を最大化するだろう(91, 97, 127)。  急性の筋タンパク質合成の増加に加えて、一貫してレジスタンストレーニング後にタンパク質をサプリメント摂取することにより、タンパク質サプリメントが与えられない条件の被験者と比較して、長期的に少量から中程度の筋肥大が引き起こされた(22, 115)。筋タンパク質合成の急性の測定と、レジスタンストレーニングによって引き起こされる筋肥大の間の関係について検証した研究は、現時点では1つだけである。この研究においては、23名のレクリエーションレベルの身体活動を行っているが、少なくとも1年間にわたってレジスタンスエクササイズプログラムを行っていない若い男性を対象として、開始時の筋力、安静時および運動後の筋タンパク質合成のレートについて測定を行った。2日間の下半身(レッグプレス、レッグエクステンション、レッグカール、カーフプレス)および2日間の上半身(チェストプレス、ショルダープレス、シーティッドロウ、ラットプルダウン、バイセプスカール、トライセプスエクステンション)のエクササイズを、一晩の絶食から明けた朝に最初に行った。エクササイズを行った各日の後およびトレーニングを行わなかった日の朝食に30gの牛乳タンパク質、25.9gの炭水化物、3.4gの脂質を含む栄養ドリンクを摂取した。この研究の著者らは、トレーニングによって引き起こされる筋タンパク質合成の急性の上昇(トレーニング後6時間)と栄養ドリンク、筋肥大の間に相関はなかったことを見出した。しかしながら、トレーニングに伴う筋タンパク質合成の変化は、被験者間で画一的ではなく、したがって筋肥大において筋タンパク質の急性の変化は重要であるが、個々の筋力の増加の可能性を予測するうえで唯一の決定因子ではないとも彼らは述べている(81)。本研究で用いられた30gの牛乳タンパク質は、推定で24gのカゼインと6gのホエイ、総量で2.8gのロイシンが含まれていた(129)。 同時トレーニング  エクササイズ干渉(exercise interference)は、持久的エクササイズをストレングストレーニングと組み合わせて行うと(隣り合わせのセッション、back-to-back sessions)、ストレングストレーニングのみと比較して、筋力の獲得が鈍化するが、持久的パフォーマンスは向上するという概念である(140)。同時トレーニングについての関心は近年高まっているが、同時トレーニングに対する栄養的な推奨は、持久的トレーニングあるいはレジスタンストレーニングへの栄養的介入の影響について調べた研究に基づいていることがしばしばある。持久的エクササイズ後およびウェイトの挙上前の炭水化物摂取は、骨格筋の分解を抑制する。また、持久的エクササイズ後にタンパク質を摂取することが、筋タンパク質合成に及ぼす影響について、研究でも長時間にわたる(2時間超)レジスタンストレーニング中のタンパク質摂取は、炭水化物のコントロール群と比較して運動中の筋タンパク質合成の増加を支えており、選手らは持久的運動後、また挙上前あるいはセッション中にタンパク質を摂取することを考慮すべきであることが示されている(101)。 食事の時間におけるタンパク質  ワークアウト直後にタンパク質を摂取することに加え、とくにレジスタンスとトレーニングはエクササイズ後24〜48時間にわたってアミノ酸に対する筋の感受性を高めるが、食事の同化作用は約3〜5時間持続するため、成人はそれぞれの食事におけるタンパク質摂取にも注目すべきである。最適な筋リモデリングのために、食事ごとに少なくとも20〜30gのタンパク質を摂取すること、また食事を3〜4時間おきに摂ることを専門家は示唆している(77, 101)。  子どもにおける筋タンパク質合成についてのデータは、侵襲的な測定手順が必要となるため、データの量は限られており(15)、健康な子どもにおいてトレーニング後の筋タンパク質合成およびワークアウト後のタンパク質摂取について調べた研究は存在しない。しかしながら、子どもについては1つのことが明らかである。すなわち、子どもは成人と同様の食事ごとのタンパク質ガイドラインに従う必要はないというものである。なぜなら、タンパク質合成の原動力はロイシンではなくインスリンと摂取カロリーによって調整されるためである。したがって、子どもたちはより少量のタンパク質を一日全体を通してタンパク質必要量を満たすように摂取することができる(75)。競技ごとのタンパク質必要量に関するさらなる情報は、表10.3を参照のこと。 体組成を変化させるための栄養戦略  体組成を変化させたい競技選手は、筋を増やし、体脂肪を減らす、あるいはそれら両方を行う必要があることが典型的である。筋と脂肪の療法を増やすといったいくつかのシナリオがあるものの(典型的には摂食障害のある場合)、本セクションでは筋を増やし体脂肪を減らすことに注目する。  体組成を変化させるうえで最初の段階は必要なカロリー量を推定することである(「カロリー」というのは一般用語であり、専門用語では「キロカロリー」となる。訳注:本書では熱量の単位としてはkcalとしている)。選手にとっての毎日の必要なカロリーの数値は、遺伝や体重、体組成、トレーニングプログラム、年齢を含む多数の因子によって決まる。子どもおよび青年もまた、成長や発達のためにカロリーが必要である。  総消費エネルギーのうち最も大きな割合であるのが基礎代謝率(BMR, Basal Metabolic Rate)であり、1日のエネルギー消費のほぼ60~75%を占める(59, 107)。これは呼吸や血液循環、胃腸および腎臓の処理過程といった正常な身体機能を維持するために必要なカロリーの量である。基礎代謝率と安静時代謝率(RMR, resting metabolic rate)は、しばしばお互いに交換可能なように用いられるが、これらはわずかに異なる。基礎代謝率は、一晩の絶食(12〜14時間にわたって食物を摂らない)の後、安静に仰臥位となり、動かないが目覚めたままで測定する(32, 52)。安静時代謝率は、測定が容易であることにより(一晩の絶食が必要ではない)しばしば基礎代謝率の代わりに用いられることがあるが、最近摂取した食事あるいはその日の早い時期に行った身体活動の結果として生じるエネルギー消費の増加により、基礎代謝率よりも10〜20%高くなる。いくつかの要因が基礎代謝率および安静時代謝率に影響を及ぼし、とくに除脂肪量は、個人内で安静時代謝率の変動の70〜80%を説明する(52, 88, 108)。ほかの要因には、年齢や栄養状態、遺伝、内分泌機能(甲状腺機能低下症および亢進症など)が含まれる。  個人のエネルギー必要量を決める2番目に大きな要因は、身体活動でのエネルギー消費である。これはすべての構成要素の中で最も個人差が出るもので、トレーニングプログラムの頻度や強度、継続時間、そしてトレーニング以外の身体運動(洗車や家事など)によって増加する。典型的には、1日の総エネルギー消費量のうち20〜30%を身体活動が占めているが、この数字は競技選手ではかなり高いかもしれない(59, 107)。エネルギー消費量が最も高いのは、身体の大きな選手が有酸素的な活動を長時間行った場合であり、身体の小さな選手がスキル系、パワー系の競技を行った場合に最も低い。  食事性の熱産生効果とは、食事を摂った後数時間にわたって安静時代謝率以上にエネルギー消費が高まる現象で、食事誘発性熱産生として知られている。この食事性の熱産生効果には、身体での食品の消化、吸収、代謝、貯蔵に関わるエネルギー消費が含まれる。食事性の熱産生効果は、1日に消費されるカロリーのうち約10〜15%を占める(59, 107)。  必要なカロリー量を算出するために用いられる等式は多くあり、Cunninghamの式や、Harris-Benedictの式といった推定式がある。Harris-Benedictの式では、性別や体重、身長、年齢を安静時代謝率を推測するうえで考慮に入れている。安静時代謝率は、身体活動の因子を1.2(座業中心)から1.9(激しい身体活動)をかけることでエネルギー必要量を推定している(42)。しかしながら、Harris-Benedictの式では、筋量が安静時代謝率に及ぼす影響について考慮されていない(83)。Cunninghamの式は、Harris-Benedictの式と同じ変数を考慮しているが、除脂肪量について考慮されており、競技選手にとってより適用しやすいものになっている(126)。 安静時代謝率(RMR) = 550 + 22(除脂肪量;LBM)  Cunninghamの式を用い、除脂肪量に基づき安静時代謝率を推測した後、一日の総エネルギー消費量を推測するために活動因子を用いることができる。基礎的活動因子を用いる代わりに、ストレングス&コンディショニングコーチは代謝当量(MET値)──身体活動中の推定消費カロリー──を用いることを選ぶかもしれない。1METは、静かに座っているときのエネルギー消費に相当する。したがって、運動強度が高くなるほど、METは高くなる(2)。  このほか体重の安定している時期に、連続する3日間の食事摂取を記録する方法があるが、これは時間と労力を要するため、非常にやる気のある選手を対象にする。個人の1日のエネルギー必要量は、その日に摂取したカロリーの量と同じと推測できる。ただ、この方法では、食物の摂取を記録するとなると、通常の食事の習慣が変わってしまうことや、摂取した食事を必ずしもいつも正確に記録するわけではないという落とし穴がある(47, 114)。最後に、非常にシンプルなカロリー必要量の評価方法について表10.4に示した。 体重増加  選手の体重を増やす能力は、さまざまな因子によって決まり、その中で制御できるものには食事とトレーニングがある。オフシーズンは、選手たちは心に試合のプレッシャーがかからないため、体重増加に焦点を合わせて食事を変化させるための時間として使うべきである。  もし選手が劇的かつ一貫して摂取カロリーを増加させたならば、彼らが思った以上に体脂肪の増加が起こるだろう。選手ごとに調整すべきだが、体重増加のための一般的なガイドラインは、1回あたり約500kcalの追加的なカロリーを摂取することである(106)。より大きな分量を食べること、食費の頻度を増やすこと、カロリー密度の高い食品を選ぶことは、すべて選手が体重を増やすのを手助けできる戦略となる。総カロリー摂取を増加させることに加えて、選手は除脂肪体重を増やすことを確実なものとするために、十分なタンパク質、すなわち体重1kgあたり1.5〜2.0gを摂取すべきである。競技選手においてタンパク質摂取を高めることは、体重増加を強固なものとし、そのタンパク質の飽和に対して甚大な影響を及ぼすとともに、高タンパク質食は食事性熱産生効果ももたらす。しかしながら、タンパク質を過剰に摂取することは、その食事を続けることができるならば有利となる。ランダム化対照での過剰摂取研究においては、16名の健康な成人を対象として、代謝測定室で8週間にわたって低タンパク質(総カロリーの5%)、通常タンパク質(総カロリーの15%)、高タンパク質(総カロリーの25%)を含む食事を摂取した。通常および高タンパク質を摂取した被験者は、徐脂肪量に対する過剰なカロリーの約45%を貯蔵したが、低タンパク質食では徐脂肪量に対する過剰なカロリーの95%を体脂肪として貯蔵した(31)。食事を変化させることに加え、体重を増やしたい選手は安全にまた効果的に除脂肪体重を増やすクレアチンモノハイドレートを含むサプリメントを摂取すべきである(69)。  最終的に、競技選手はエネルギーおよびタンパク質の必要について知っているかもしれないが、その知識を実践するのに困惑してしまうことがある。したがって、より高度な学位を持つスポーツ栄養士による栄養カウンセリング(あるいはコーチング)を定期的に行うことが、体重の増加をより促進させるうえで推奨される戦略である。21名の激しいトレーニング負荷のかかっている一流選手を対象とした研究において、栄養カウンセリングを受けるか、自由に食べるかのどちらかにランダムに割り振られ、8〜12週間の増量期間を通して総体重および除脂肪体重は介入の間、また12カ月後において増加した。これはすなわち、栄養カウンセリングを受けることが、カウンセリング終了後数カ月にわたって栄養指導の効果が続くことを意味している(33)。 体重(脂肪)減少  さまざまな競技に参加する選手において、スピードや持久力といった側面を改善するために、体脂肪を減らす必要があるかもしれない。加えて、体重を調整することは、選手において試合に向けた心理的な優位性をもたらすかもしれない(102)。さらに、体重を維持することは、ウェイトリフティングやレスリング、ボクシング、漕艇の軽量選手、体操といった体重別の階級や体重制限がある競技、外見に基づいて判定される競技において繰り返される側面の1つである。  食事についての多くの本がベストセラーのリストに入っているにもかかわらず、あらゆる人にうまくいく理想的な食事というのは存在しない。その代わり、低炭水化物食や低脂質食を含むさまざまな食事を摂ることは、体重を維持するのに必要なカロリーよりも少ない摂取を続ける限り、体重は減少することが研究により示されている。加えて、低脂肪食(したがって高炭水化物食)と比較して、低炭水化物食における体重減少の量に差はみられなかった(17, 30)。総カロリー摂取と食事のアドヒアランス(遵守、長期間にわたって続けられること)の2つは、減量の成功を予測する上で最も重要な要素である。しかしながら、減量中の体重減少のうち筋の減少が大きな割合を占めている(135)。また筋の合成はエネルギーを消費する過程であるため、減量中はカロリー制限により筋タンパク質合成は減少するかもしれない。減量中に筋を維持し体脂肪を減らしたいと考える選手は、タンパク質を1日あたり1.8〜2.7g(1日あたり除脂肪体重1kgあたりタンパク質約2.3〜3.1g)に加え、約500kcalという中程度のエネルギー不足を維持すべきである(84)。  長期にわたって継続できるように、食事は個別化すべきであり、受け入れられやすくするために(アドヒアランスを高めるために)、生活習慣や病歴(糖尿病、インスリン抵抗性、その他病気や医学的問題)、食事歴、食べ物の好みを考慮に入れ、選手が練習やパフォーマンスを適切に行うために必要なすべての栄養素を提供すべきである。そして最終的に、研究では継続的な行動療法と支援が、長期的に継続する結果を改善することが示されている(76)。  >1つの理想的な食事というのは存在しない。その代わり、安全かどうか、またニーズに見合うタンパク質を含んでいるか、そしてライフスタイルに合い、簡単に遵守・継続できるかどうかに基づいて、食事アプローチを選ぶ必要がある。 過体重と肥満  過体重と肥満は、それぞれBMI(体格指数、body mass index)が25〜29.9kg/m2、30kg/m2以上と定義されており、高血圧、高脂血症、冠動脈疾患、胆のう疾患、脳卒中、タイプII糖尿病、睡眠時無呼吸、変形性股関節症、呼吸の問題、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌、大腸癌に罹患するリスクを高める(86)。肥満は病気に分類され、米国の成人において34.9%、子どもの17%が発症している(92)。  肥満の原因は複雑であり、遺伝と環境の相互作用を含み、社会的、行動的、文化的、代謝的、生理学的、遺伝的要因が関わっている。しかしながら、食事療法や、身体活動パターンの変容、薬物療法、手術を含めた多くの治療の選択肢が有効である。患者および臨床家は、これらの治療のいくつかを組み合わせて用いることがある。過体重および肥満の人における初期の目標は、6カ月以内に当初の体重から10%減少させることである(86)。  BMIは身長と体重から算出される。BMIは体脂肪と関連する病気のリスク評価にしばしば用いられる。しかしながら、現実には過剰な脂肪というよりは、過剰な体重の測定である(86)。なぜなら、BMIは過剰な脂肪の重さと、筋や骨の重さを区別することができないためである(21)。最後に、年齢や性別、民族性、筋量が、BMIと体脂肪の間の関係に影響を及ぼす。したがって、BMIは競技選手や筋の発達した人においては体脂肪を実際より多く推定してしまうことがあり、また高齢者や筋量の少ない人においては体脂肪を実際より少なく推定することになる(86)。成人においてBMIと体脂肪の関係に影響を及ぼす要素は、子どもにおいても適用できる。加えて、子どもにおけるBMIには、身長と性的成熟が影響を及ぼす。算出方法は成人と同じであるが、子どもにおけるBMIの解釈には、年齢と性別を考慮に入れる。  BMIは診断ツールとして用いるべきではないが、個人における潜在的な体重の問題を特定するための初期スクリーニングツールとして、また人口ベースの過体重および肥満の追跡に用いられる。加えて、健康上の、あるいは病気、病気のリスクの評価に1つの測定のみを用いるべきではない(21)。過体重あるいは肥満は、高血圧や高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド、高血糖、身体的不活動、若年性心臓疾患の家族歴、喫煙を含めた他のリスクファクターと組み合わさって、心臓疾患のリスクを高める(86)。  >BMIは診断ツールとして用いるべきではないが、個人における潜在的な体重の問題を特定するための初期スクリーニングツールとして、また人口ベースの過体重および肥満の追跡に用いられる。  腹囲測定も、病気のリスクを評価するために用いられる測定方法の1つである。腹囲が男性で102cm(40インチ)を超える、女性で88cm(35インチ)を超えると、相対的リスクが高い(86)。  表10.5では過体重と肥満のさまざまな分類を示す。参考として、BMI25、27、30に相当する体重と身長を表10.6に示す。表10.7では、子どもにおけるパーセンタイル順位に対応したBMIカテゴリを列挙した。スクリーニング過程やリスクの評価に関するさらなる情報は、米国立心肺血液研究所(NHLBI)のウェブサイトにある「過体重の成人の同定、評価、治療に関するガイドライン」にある。競技選手は、年齢および性別をマッチさせた選手以外の集団よりも筋が多く、BMIでは過体重および肥満であると過剰な推定をしてしまいがちなので、ストレングス&コンディショニング専門職は、その他のより正確性の高い、スキンフォールド法(皮下脂肪厚測定)やDEXA法(X線吸収測定法)を用いるべきである(70)。  すべての肥満の人には体脂肪の過剰という共通の特徴があるが、彼らを一様に扱ってはならない。糖尿病や整形外科的な問題、心臓病、過食障害やうつ病などの心理学的障害といった肥満と同時に存在する病気の有無について、また社会的・文化的影響、変化に対するレディネス(準備性)などについてのスクリーニングが必要である。(医師によって)減量すべきとされた肥満の選手は、特別な努力を課されることになる。なぜなら、減量は外部から指図されたもので、内在する目標ではないからである。減量は、選手本人の中では相当な労力を必要とし、メンタルヘルスの専門職あるいは登録栄養士と密な連携を取って目標に到達するのを支援する必要があるかもしれない。 急速な体重減少  文献における統一的な定義は存在しないが、「急速な減量」とは一般的に、カロリー摂取を低下させ運動を増やすことによって達成できるよりも短期間で素早い体重減少を意味する(29)。選手らは、望む階級で戦うため、あるいはコーチにより設定された目標を達成するため、パフォーマンスを改善するために、体重を素早く減少させるためにさまざまなテクニックを用いることがある。潜在的に危険な減量方法には、絶食、こだわりのある食事、自発的脱水(利尿剤やサウナ、水分および塩分の操作、衣服の重ね着)、過剰な唾吐き、自分で行う嘔吐、下剤の乱用、熱を産生する物質の不適切あるいは過剰な使用が含まれる(29)。  体重を減少させようとする幅があまりに大きすぎたり、あまりに素早く減少させようとする競技選手は、除脂肪体重の減少や疲労感、頭痛あるいは気分変動が起こることがあり、練習やパフォーマンスを行うことに危険が伴ったり、いくつかの深刻な潜在的副作用に苦しむかもしれない。 それには、脱水や熱中症、熱痙攣、疲労、めまい、免疫機能の抑制、ホルモンバランス不良、体温上昇、筋力低下、血漿および血液量の減少、低血圧、電解質異常、腎不全(利尿剤の乱用)、失神、脂肪(極端な例)が含まれる(29)。  ストレングス&コンディショニング専門職は、急激な減量に伴う徴候や症状について認識できるようにすべきであり、また選手を適切な専門職に紹介するとともに、残りのコーチングスタッフともコミュニケーションをとることができるべきである。加えて、ストレングス&コンディショニング専門職は、選手の支援となるよう、またともに働く医師や登録栄養士が身体組成や食事歴、病歴、摂食障害について考慮に入れて体重の目標を設定するうえで助けとなるよう、彼らがたどった段階について文書化することを考慮しようとするかもしれない(記録を残し、責任予防のため)。競技選手の中には、健康やパフォーマンスを危険にさらすことなく体重を調整できないようであれば、体重階級を再考する必要のある者もいるかもしれない。 摂食障害と栄養補給障害(幼児における摂食障害)  摂食障害には、過食障害(むちゃ食い障害)、神経性食欲不振症、神経性過食症が含まれ、男女ともに発症し、人生のどの時点での起こり得る、死亡リスクの上昇を伴う、深刻なメンタルヘルスの障害である。摂食障害患者は、不安障害やうつなどの気分障害、衝動制御障害、物質乱用障害といったその他の精神疾患の有病率が高い(41,50)。  競技選手における乱れた摂食(disordered eating)および摂食障害(eating disorders)の有病率が対照群と比較して高いことが、複数の研究によって示されている(37, 121, 143)。とくに、体重階級制の競技(レスリングなど)や、痩せていることが強調されるクロスカントリー走などの競技、審美的要素の競技である体操などの競技の選手は、乱れた摂食および摂食障害となりやすいかもしれない(37, 121, 143)。乱れた摂食および摂食障害の徴候には、食事の制限や絶食、欠食(食事を抜くこと)、ダイエット薬や下剤、利尿剤の服用などがある。しかしながら、乱れた摂食を有する者は、摂食障害の診断的基準のすべてを満たさない(37)。  摂食障害は多元的な疾患であり、チームによる総合的なアプローチが必要となる。ストレングス&コンディショニング専門職は、摂食障害の徴候や症状に気がつくべきであり、選手が摂食障害の専門家から必要な心理学的・医学的・栄養的支援を受けられるような照会や依頼のネットワークを持っておくべきである。 神経性食欲不振症  神経性食欲不振症は歪んだ身体イメージと、体重増加や太ることへの激しい恐怖によって特徴づけられ、患者は極端なカロリー制限や厳しい減量を行う(6)。神経性食欲不振症患者は、体重あるいは体型を非常に重視し、その病気の深刻さを認識することはない。また、神経性食欲不振症患者は、繰り返し体重を測定する、食べ物を細かくする、注意深く取り分けるというような儀式的な行動をとることが典型的である(87)。  神経性食欲不振症は、2つのサブタイプに分類される。限定型は、規則的に過食あるいは嘔吐、下剤使用などを行わず、過食-嘔吐型は過食や嘔吐を定期的に行う。  発症の平均年齢は19歳であり、生涯有病率は男女それぞれ0.9%と0.3%である。神経性食欲不振症のうち治療を受けるのは33.8%にすぎない(50)。しかしながら、これらの統計は古い診断基準に基づいており、2013年改訂の診断基準では有病率は増加するかもしれない(48)。すべてのメンタルヘルス障害の中で、神経性食欲不振症は死亡率が最も高いことに注意することは重要である(41)。神経性食欲不振症に関するより多くの情報については、米国精神医学会による精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、2013年)第5版を読むことを勧める。 過食障害(むちゃ食い障害)  かつては「非特異的な摂食障害」に分類されていた過食障害(むちゃ食い障害)は、精神障害の診断と統計マニュアル第5版で、独立したカテゴリに分類された(6)。過食障害は、3週間にわたって少なくとも週に1回、制御されていない大量の摂取(ほとんどの人が同じ状況で食べるよりも明らかに多くの食べ物を、短い時間に食べる)というエピソードが繰り返されることが特徴である(6)。過食エピソードには、以下の3つ以上を伴う。  ・通常よりも素早く食べる  ・不快なほどの満腹になるまで食べる  ・身体的には空腹を感じていないときに大量の食物を食べる  ・どのくらいの量を食べるのかについて恥ずかしさを感じるため、独りで食べる  ・自分自身に嫌悪を感じ、あるいは落ち込み、後で非常に罪悪感を持つ(6)  過食障害は、神経性食欲不振症と異なり、排出(吐いたり下剤を用いる)がないため、患者は過体重あるいは肥満であることがしばしばある。生涯有病率は男女それぞれで2.0%と3.5%であり、平均発症年齢は25歳である。過食障害の生涯有病率は、病的な肥満(BMI >40)と関連している。生涯を通して、過食障害の人が治療を受けるのは43.6%のみである(50)。しかしながら、これらの統計は過食障害についての古い基準に基づいた、特異的な摂食障害に分類される(2013年)以前のものである。改訂された基準では、有病率は上昇するかもしれない(48)。過食障害は、顕著な身体的・心理学的問題と関連している。加えて、過食障害の人はその行動に困惑、罪悪感、嫌悪感を覚えるかもしれず、また独りで食べることによってその行動を隠そうとするかもしれない(6)。 神経性過食症  神経性過食症の特徴は、通常一度に食べられる量をはるかに超える大量の食物摂取──たとえばピザ丸ごと1枚、アイスクリーム2L、クッキー1パックなど──を繰り返すことである。過食のエピソードに続いて、排出があり、以下の1つ以上を含むことがある。すなわち、自己誘発性嘔吐、高強度運動、下剤あるいは利尿剤の使用である。過食と排出は少なくとも週に1回以上、3カ月以上にわたって起こる(6)。神経性過食症患者は、過食エピソード中に摂食の制御を失っていることを感じ、低体重ではなく正常体重であることを望み、自らの体重や身体に満足しておらず、体重増加を恐れる。神経性過食症の平均発症年齢は20歳であり、生涯有病率は0.6%である。神経性過食症患者のうち、治療を受けているのは43.2%のみである(50)。しかしながら、これらの統計は古い診断基準に基づいており、2013年改訂の精神障害の診断と統計マニュアル第5版における診断基準では有病率は増加するかもしれない(48)。過食症についてのさらなる情報については、この情報源を読むことを勧める。 回避性・制限性食物摂取障害  回避性・制限性食物摂取障害(ARFID;avoidant/restrictive food intake disorder)は、摂食障害あるいは哺育障害であり、食べることや食物に対する関心の欠如や、食物の感覚的な特徴に基づく回避、食事の有害な結果への懸念を含む。この障害は、以下の1つ(以上)を伴う、栄養あるいはエネルギー必要量を満たしていないことにより明らかとなる(6)。  ・顕著な体重減少(期待していた体重増加に達しない、あるいは子どもにおいては成長の低迷)  ・顕著な栄養不足  ・経腸栄養あるいは経口栄養サプリメントへの依存  ・心理社会的機能への著しい干渉  この障害は、利用可能な食物の欠如や、文化的に許容される実践との関連では、うまく説明されない。  摂食障害は、神経性食欲不振症あるいは神経性過食症の経過において排他的に生じるものではなく、また、どのようにして、またどの体重あるいは体型で起こるのかについてのエビデンスはない。  摂食障害は、同時に生じている医学的症状に起因し得るものではなく、その他の精神障害によってよりよく説明されるものでもない。摂食障害が他の症状や障害の文脈において起こったとき、摂食障害の重症度は日常的に伴う症状や障害を超過し、追加的な臨床的注意を必要とする(6)。 異食症  異食症患者は、非栄養物質を少なくとも1カ月にわたって摂食している。一般的な非栄養物質には、粘土や洗濯のり、氷、タバコの吸い殻、髪の毛、チョークが含まれる(64)。異食症患者は、数多くの問題の中でも電解質および代謝障害や、腸閉塞、歯のエナメル質の剥離、胃腸障害を起こすことがある。異食症は鉄欠乏を伴う場合があるため、貧血の検査が勧められる(64)。 反芻性障害  反芻(はんすう)は、食べたものを逆流させて吸う、再嚥下する、吐き出すというものである。この障害に分類されるには、他の症状はなく、少なくとも1カ月にわたってこの行動が示される必要がある。  反芻性障害は、他の摂食の問題あるいは障害と同時に起こることがある(6)。 摂食障害:マネジメントとケア  摂食障害の治療や診断はストレングス&コンディショニング専門職の責任ではない。選手が資格を持った医師により適切な診断を得ること、そして資格を持った治療チームによる治療を受けるのを支援することに倫理的責任がある。したがって、ストレングス&コンディショニング専門職は、摂食障害の症状とともに乱れた摂食の徴候に留意すべきである。異常な摂食パターンや無月経のみが摂食障害を示すのではないということを心に留めておかなければならない。選手の行動から懸念が生じたときには、経験豊富で診断資格を持つ摂食障害の治療の専門家に連絡するべきである。  >ストレングス&コンディショニング専門職は、摂食障害を治療する責任は追わないが、その代わりに摂食障害に伴う症状に気づき、選手を適切な専門職へと委ねる(紹介する)べきである。 まとめ  ストレングス&コンディショニングにおける栄養の主要な役割は、競技パフォーマンスを支えることである。一般的な栄養学の原理とその適用を理解することは、ストレングス&コンディショニング専門職にとって、一貫性のある、正確な情報を選手に提供するために、また摂食障害の徴候や症状に気づくことができるためにも必要である。また、試合前・中・後を通した栄養により、選手をよりよいパフォーマンスへと導き、また全般的な健康のため、トレーニングの適応やパフォーマンスを高めるため、毎日の食事が栄養的に完全であることも強調されるべきである。 重要語句  神経性食欲不振症(anorexia nervosa)  過食障害(binge-eating disorder)  体格指数(BMI;body mass index)  神経性過食症(bulimia nervosa)  炭水化物ローディング、カーボローディング(carbohydrate loading)  食事誘発性熱産生(diet-induced thermogenesis)  乱れた摂食(disordered eating)  摂食障害(eating disorders)  等カロリーの(isocaloric)  肥満(obesity)  試合前の食事(precompetition meal)  自発的脱水(voluntary dehydration) 例題  1. 試合前の食事で取り入れられる主な主要栄養素は以下のうちどれか。  a. 脂質  b. 炭水化物  c. タンパク質  d. ビタミン  2. 総エネルギー消費において、最も寄与するのは以下のうちどれか。  a. 安静時代謝率  b. 身体活動エネルギー消費  c. 食事性熱産生  d. 安静時血糖値  3. 神経性食欲不振症の特徴はどれか?  a. 体重は標準の範囲である  b. 食事における脂肪の摂取が非常に少ない  c. 食物に偏見を持っている  d. 隠れて食べる  4. 摂食障害が疑われるとき、ストレングス&コンディショニング専門職は何をするべきか?  a. 選手の毎日の食事摂取をモニターする  b. 頻繁に体重測定を求める  c. 摂食障害の専門家によるさらなる評価を勧める  d. 栄養に関する情報を与える  5. 1時間以内の試合中に水分状態を維持するために、89〜237ml(3〜8オンス)の水またはスポーツドリンクを、何分ごとに摂取することが勧められるか。  a. 15分  b. 30分  c. 60分  d. 2時間